虚無層

exit from society

vS137(突撃!探検同盟第1週)雑翻訳(2019/8/16)

 ハース攻略クラスタあるある:「突撃!探検同盟」が略称できなくて地味につらい(探検同盟だとLoEと区別できないので)。この記事では英語版の名前「Saviors of Uldum」にならってウルドゥムと書いてます。あと部屋のWi-Fiが突然死んだのでスマホで英文見ながらSublime Textで編集してるんですが意外と快適です。文章バグってたらすみません。

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-137/

クラス使用率論議

 ウルドゥムの発売によってプレイヤー全体が新しいデッキの開発に取り組んでいる。ランク4に到達すると環境はより競技的になり、メタゲームの形成を見ることができる。我々は低いランクでの「ジャンク」が消えた上のランク4-1をサンプルとして重要視している。
 全体で最も人気なのはメイジで、ウルドゥム最初の一週間を通して興味深いトレンドの変化があった。始めはビッグスペルメイジがかなり流行していたが、すぐにハイランダーメイジに取って代わられ、今ではハイランダーメイジが最大手になっている。サイクロンメイジは新カードによる強化を受けていないため、プレイヤーの興味を引いておらず低い使用率。
 ウォリアーが2番目に影響力のあるクラスで、挑発パッケージを得たコントロールウォリアーがクラス内では最多。爆弾ウォリアーもサイクロンメイジと同様、新カードが入らないため少ない。血盟の傭兵によって、アグロウォリアーが誕生し高レベルでは著しく人気になっているため注目していく価値があるだろう。
 ハンターはハイランダー界隈の2番目に陣取っており、メタに大きな衝撃を与えたようである。構築は実験体9号を入れた秘策中心のものが多い。比べると普通の秘策ハンターは少なく、また悪党同盟時代のミッドレンジや爆弾ハンターはとても控えめな数字。ちなみに我々は「爆弾ハンター」を今後「メカハンター」と呼びたい。ホロボシトロン入りの遅い旧メカハンターが消滅したので。
 我々のほとんどが今拡張のパラディンは海底に沈むだろうと思っていたのだが、今週のパラディンは驚くべき良い一週間を過ごした。マーロック鮮鯛&プリズムレンズを採用したマーロックパラディンが非常に強力であることが判明した。クエスパラディンも存在しているが、ウォリコンのエサになって消滅しつつある。他の実験はハイランダーパラディンなどあるが、実を結んでいない。
 クエストシャーマンは熱狂的な興味を集めており、その熱狂はゲーム全体で最大の使用率となって現れている。悪党同盟時代のデッキはアグロ、マーロック共に控えめな使用率。レジェンドではアグロのほうが少しだけ注目されている。
 新しい泥棒クエストローグも拡張開始と同時に多くのプレイヤーに試されたデッキだが、高レベル帯ではアグロローグに取って代わられる。アグロローグはおおよそ前拡張のぶんどり部隊ローグと同じだが、段取りとぶんどり部隊を抜いて新カードの鉤付きシミターを入れている。
 人気クエスト三連星の最後の一人たるクエスドルイドは現在もデッキが固まっておらず、序中盤から勝ち筋に至るまで未だに様々な構築が実験されている。確かにクエストデッキはどれも最適化されているとは言えない状況だが、ドルイドは特に突出して不安定だということを、後述の分析を読む際も念頭に置いておいてほしい。「眠れる可能性」はデッキの基礎としては魅力的だが、その先のフィニッシャーの最適解は難しい。
 最後にプリーストだが、スタンダードでは最も人気がない。しかしレジェンドではコンボプリーストが光の速さで成長している。クエストプリ、壁クエストプリの両者を置いてけぼりにしてこのデッキがクラスの覇権を握り、そして他のメタクラスを一つまた一つと追い抜いている。一体何が起きているのか?

パワーランキング論議

「どうせウォリアーかメイジがトップだと思ったか? 俺だぜ! アンドゥインだ!!」

 端的に言えばコンボプリーストは神。マッチアップは完璧に近く、他のデッキでこれに明確な有利をつけられるものがない。拡張の序盤であるにもかかわらず、いくつかのマッチアップの勝率が日に日に改善していくことから、習熟に伴う勝率の上昇率もかなり高いことが示唆されている。コンボプリは本物。
 ただし、現在のプリーストには分からん殺しの側面もあることも間違いない。ジャンクを別にすれば現在のウルドゥムのメタはウォリアーとメイジだけが見られており、プリーストは放置されてやりたい放題している。プレイヤーがプリーストに気付いて構築や戦い方を学び始めたら、この明確なメタブレイカーに対する効果的な対処法も現れてくるかもしれない。

 現在プリーストにある程度は有利で、将来プリを転ばせる可能性を持っているのはウォリアー。新しい挑発コントロールウォリアーは圧倒的に強力で、あの悪党同盟時代からさらに強化されており、アグロだけでなく充分なレイトゲーム戦略を持っていないデッキ全てを蹴散らしている。一方アグロウォリアーも非常に強く、マッチアップが広く優秀だがコントロールウォリアーにはとても弱い。それさえなければナンバーワンも狙える。
 興味深いことに、サンプル数は低いが爆弾ウォリアーもまたTier1級に強いが、現時点のパフォーマンスはウォリコンに劣る。環境全体に対してはとても効果的なデッキなのだが、既に強さが証明されたウォリコンからわざわざ持ち変えるほどではないというのが使われないい理由の一つだろう。しかし、これが今でも十分に強く、また今後ウォリコンが強くメタられる可能性を考えると、爆弾から目を離すべきではないと考える。

 時が経つにつれ、ビッグスペルメイジは強欲すぎてアグロに隙を突かれたり、環境に対策されると反撃できなくなるということが明らかになってきた。ハイランダーメイジはより柔軟で、対策も乗り越えることができる。レノとゼフリスは型破りかつ非常に強力な解答によってシングルトンデッキの弱みを打ち消してくれる。このアーキタイプ爆誕したのは偶然ではなく、これこそが現時点で最強のメイジといって問題ないだろう。
 まさに、現在のハイランダーメイジはあのサイクロンメイジよりも強い、と我々は考えている。確かにサイクロンメイジは強力なのだが、その強さが変化していないのに対して環境全体の強さが予想よりも大きく上がった。また、新しいウォリコンはより多くの大型除去を持ち合わせており、より攻撃的に盤面を作ることができるという問題もある。もしサイクロンがラダーに帰ってくるとしたら、どのように変形してくるかは興味深い。しかし何はともあれ今は数が少ないので本当の強さはまだ計り知れない。

 コンボプリーストが既にメタを破壊しにかかっている一方、ハイランダーハンターもまたメタブレイカーの可能性を秘めていると言える。このデッキはウォリコンとレノメイジの両方に対して特に有利という稀有な性質を持ちつつ、コンボプリーストに対する勝率も他のデッキより高い。ただ、アグロに弱い。そのせいでこれらを追い抜かずに同じレベルに留まっていると言える。
 秘策ハンターも同様に有望なマッチアップを持っているが、だいたいハイランダーハンターの下位互換に見える。ブランとゼフリスはクラスの可能性を底上げしてトップデッキと戦えるようにし、ゼフリスによって通常のハンターは手に入らないアグロ耐性も得られる。
 メカハンターは今でも勝率は悪くないが、最終的にトップデッキ群に追いつけない危険性はある。最大の理由はかつて有利だったウォリアーに逆転されていること。新しい挑発パッケージによって顔面が遠くなり、決める前に安定されてしまうことが増えた。ウルドゥム初期のジャンクが消えた後では、メカハンターはより厳しい試練に置かれるかもしれない。

 マーロックパラディンは現在のアグロ界における最大手であり、環境のリトマス試験紙とも言える。もし貴方のデッキに5ターン目のマーロック鮮鯛に対応できるAoEがないならば、5ターンまでに盤面でリードしておくしかない。それが現在のパラディンが相手に要求するものであり、またそれに完璧に答えられるデッキは数えるほどしかない。それがこのデッキが強い理由。
 クエスパラディンは悪党同盟のメカパラディンを踏襲しているが、前よりもさらにマッチアップが両極化している。ウォリコンをエサにしつつハンターにも強いが、メイジ、プリースト、各種アグロには絨毯のように這いつくばることになる。特に増加しつつあるコンボプリーストに恐怖の弱さを誇ることから、我々はこのデッキがTier3を超えられるかも怪しいと考えている。

 現時点では、クエストデッキはどれも失敗している。ローグ、ドルイド、シャーマン全てがTier4。大きな理由は2つある:

  • エストデッキは基本的に最適化が難しい。一週間たった今でも、ラダーで見る最多の構築は最良のそれではない。最大の理由はおそらくこれ。一方でコントロールウォリアーの完成には一日しかかかっていない。他のベストデッキと足並みをそろえるには時間がかかる。
  • エストデッキは非常に強力なレイトゲームの可能性を秘めているが、それでもウォリアーやメイジが得られるレイトゲームには劣る。狂気の天才やルナポケ&招来のパワー、安定力は圧倒的で、クエストたちはこれらに力負けしない道を模索しなければならない。我々は実際これらのデッキが現在よりもウォリアー、メイジ、プリースト(プリも現時点ではクエストを踏み荒らしている)に強くなる方法はあると考えているが、現時点ではまだ改良が足りていない。

 良い話としては、ローグとシャーマンはどちらもクエスト以外では強力な、ラダーで戦えるデッキを持っている。アグロローグは強力だが不幸にもウォリアーにはカウンターされるデッキ。サンプル数は少ないがアグロシャーマンもまた強力だが不幸にもウォリアーにはカウンターされるデッキ。

 ズーはこの拡張で強くなったのか? おそらく強くはなったが、環境が整うにつれてズーの数は劇的に減っており、現在の勝率はこの環境で生き残れることを保証するものではない。ウォリアー、メイジ、プリーストに対する勝率はあまり良い兆候ではない。しかし現時点でズーを最適化するのは困難な作業であるため、やがて改良が進んだとき何らかの結果を残す可能性はある。

クラス別分析

メイジ

 環境序盤のフロントランナーはメイジ。高レベル帯では最人気のクラスになり、追加された高コストのスペルとのシナジーを利用している。
 ルナのポケット銀河系は環境最強の単体カードの座をDr.ブームと争っている。このカードはサイクロンメイジでもすでに使われていたが、コントロールデッキに採用されたことでより輝き、我々にバーンズのバイブスを思い起こさせている。メイジだけが安定してマナを踏み倒しており他のどのクラスも追いつけない。マナ踏み倒しの歴史は長いが、銀河と招来はその中でもトップクラス。
 最初にApxvoid氏がビッグスペルメイジを作り、現環境のメイジのパワー源である山の巨人・召術師の招来・ルナのポケット銀河系・トートランの巡礼者・カレクゴス・ファオリス王などを全部乗せで利用しようとした。これらはどれも強力であり、統計からもレイトゲームの核として働いている。それらがヨグのパズルボックスによる高い復帰力を含めた様々な高バリュー呪文によって支えられている。また生き残るために凍結パッケージや防御系の4マナミニオンを採用。炎の護りを得たことで魔力の鍵屋は特に強化された。ナーガの砂漠の魔女は罠。
 しかしながら、時がたち実験が進んだことで、ハイランダーメイジのほうがより強力なメイジのデッキであることが判明した。強力なカードの数々が1枚積みになり、巨人・招来の枚数が減っているにもかかわらず、レノとゼフリスが追加されたことによるアドのほうが大きく、環境に対するマッチアップも改善している。レノのテンポスイング力はすさまじく、カード評価では過小評価されていたと言える。
 ハイランダーメイジにけるカード選択に関しては、サーチ系カードが非常に強力であることが分かっている。シングルトンデッキを使用する際は強力なカードをより安定して引くことが重要。サンドバインダーは巨人、ゼフリス、シアマトを引いてくる。ウィッチウッドの笛吹きは銀河前ならゼフリスを引き、銀河後なら大型を引くこともできる。念のため強調しておくが、ゼフリスは本当に強いので絶対に引きたい。安定したハイランダーデッキこそ最も危険な存在。
 サイクロンメイジはラダーではあまり人気でないが、理由の一つは新拡張のカードが一枚も入らなかったからだろう。いまでも優秀なデッキであり、大会でもいい成績を残しているが、しかし最終的にはハイランダーメイジのほうがよりすぐれた選択だろうと考えている。サイクロンメイジは新しいウォリアーにはそれほど有利でないため、より柔軟なライバルが同クラスにいる限り使用機会は減っていくだろう。
メイジ:クラスレーダー
レノ・ハイランダーメイジ
招来ビッグスペルメイジ
標準的サイクロンメイジ

ウォリアー

 誰もが予想した通り、ウォリアーは新拡張でもいまだ最強クラスの一角。新カードも貰ったが、パワーの中心は今だ手を付けられていない狂気の天才にある。全てのデッキがこの最強レイトゲームカードおよび、ほぼ無限の除去能力に対して何らかの策を講じなければならない事態。
 コントロールウォリアーはクラス内トップのアーキタイプで、新しい挑発パッケージをうまく取り込んだ。怯える下っ端は単独でも強く、アルマゲジロや墓所の番兵とのコンボが成立すれば恐怖の防御と攻撃を兼ね備えた盤面が出来上がる。バタバタミイラも強力な急襲ミニオンでお触れ役パッケージを更新し、怒りの災厄はウォリアーの除去能力をさらに強化した。
 最も一般的なコントロールウォリアーの構築は初めTheo氏によって広められたもので、すでにほぼ完成されており改良の余地は少ないのだが、いくつかの重要な示唆を与えている。まず4マナの急襲は最低でも3体あったほうがいい。ミイラと指揮官のパワーレベルはほぼ同じなのでどちらを2積みにするかはあまり重要ではない。お触れ役がジリアックスよりも早く使える4マナを引く確率を上げるのが大事。
 ダイノマティックのパワーレベルが下がっていることも重要。これはメタの変化(ローグの減少など)とウォリアーのプレイスタイルの変化(下っ端のおかげで序盤も攻めやすくなった)の2つによる。現時点ではダイノマティックはコアカードではないと我々は考えている。もっとも、怒りの災厄の強さがメイジとプリーストの多さに依存するため現在は抜く必要がないが、将来の環境によっては抜いても問題ない。
 爆弾ウォリアーの存在感は新拡張以降静かなもので、コントロールウォリアーとその新カードの陰に隠れている。また、ミラー戦において新コントロールウォリアーの挑発パッケージが爆弾ウォリアーの攻撃を否定するのも流行らない理由か。かつてのコントロールウォリアーはジリアックスしか挑発がなかったので顔を殴られるのに弱かったが、怯える下っ端と墓所の番兵によって安定するまで耐えられてしまうようになった。
 アグロウォリアーは何やら強そうな新デッキで、血盟の傭兵とツーデンランスのカードパワーに支えられている。傭兵は驚かないが、ツーデンランスがデッキ内最強カードの可能性があるのは驚き。
 アグロウォリアーのマッチアップ分布は非常に面白く、環境のほぼすべてのデッキに強く、例外的にコントロールウォリアーに弱い。この1点のみによってトップデッキに入れないでいる。カード選択の観点では、使用率は低いが強いカードがいくつかある。アルカナイト・リーパーはデッキのフィニッシュ力を高め、手札からすぐに出るダメージができるだけ欲しいこのデッキではコアカード級だと考える。レッドバンドスズメバチは完全に無視されているが、下っ端を除いて最強の2マナミニオンであり、お触れ役から引けることでより強くなっている。3ターン目に傭兵を安全に置けるようにすることは非常に重要であり、アマニよりもレッドバンドのほうが25%ほどその確率が高い。
 アップグレードとグリーンスキンはランスやリーパーと組み合わせればそこそこ強いが少々物足りなく、他の強いカードとかみ合っていない。狂瀾怒濤は過大評価で、このような状況を選ぶドローカードは少しでも早く試合を終わらせたいデッキには不向き。序盤にコンボが出せる海賊ウォリアーと考えればよく、つまり顔を殴ることに集中すべき。
ウォリアー:クラスレーダー
挑発コントロールウォリアー
下っ端爆弾ウォリアー
アルカナイト・アグロウォリアー

ハンター

 ハンターのウルドゥム初週はいい週だった。毎回ハンターは強力なスタートを切っているが、しかし最も楽観的なハンタープレイヤーでさえまさかハイランダーハンターがこれほど強いとは予想していなかっただろう。このデッキは環境を作っているほとんどのデッキに対して強いため、現在エリートポジションを進んでいる。ウォリアーとメイジの両方に対して強い勝率を誇る唯一のデッキであり、プリーストに対して明確な有利を持つ唯一のデッキでもある。
 もちろんハイランダーハンターにも弱みはあり、マーロックパラディンやズーウォーロックといった早いデッキが弱点。そこを除けばマッチアップ分布は素晴らしく、スタンダード最強デッキの一角をなしている。
 ハイランダーハンターがこれほど強い一方で、秘策ハンターが(依然としてまともなラダーデッキではあるものの)あらゆる点でハイランダーに劣るように見えるのは驚きに値する。主な理由は3つ:

  1. どちらのデッキもズルジンと実験体9号の枚数は同じ。この2枚は自身のバリューを活かすため自然と秘策の1枚ずつの採用を促進する。パワープレイの観点から、秘策ハンターも結局多くの秘策を2積みできない。
  2. 恐竜使いブランはパワフルな脅威で、ガロッシュの最弱ターン:ドクターブーム変身のターンにぶつけることができ、オメガデバステイターの起動よりも早い。
  3. ゼフリスは他の手段では決して手に入らないような、特定の状況への解答手段を与えてくれる。ハンターのカードはアグロデッキの猛攻を凌いだり、他のレイトゲームデッキのパワースパイクに反応したりするのが苦手。ゼフリスはこれらの弱点をきれいに埋めることができ、ハイランダーハンターのマナカーブの不安定さを解消したり、それ自身が勝ち筋になったりしてくれる。

 この2つの秘策系アーキタイプより少ないが、メカハンターミッドレンジハンターも存在している。メカハンターは新カードは得ていないが、今も充分よく働いている。ミッドレンジハンターはスカーレット・ウェブウィーヴァーを手に入れたことでツンドラサイのコンボが可能になり、他にも砂漠の槍など強力なカードを手に入れたが、アーキタイプとしての位置はかなり低く、メタからは疎外されている。
ハンター:クラスレーダー
9号ハイランダーハンター
標準的秘策ハンター
標準的メカハンター
呼び出しミッドレンジハンター

シャーマン

 シャーマンは中流クラスのままなのか? 初めはそのように見える。いくつか戦えるデッキを持っているが、パワーレベルはトップ級のクラスには追い付いていない。
エストシャーマンはクラスで最も多いアーキタイプで、新クエスト「水を穢せ」のポテンシャルによって発生した。しかし、ウォリアー・メイジに勝てるようなレイトゲームのバリューを持ちながら同時にアグロに耐えるだけの防御・テンポを担うのは難しかった。我々が眠れるポテンシャルだと考えているカードは鬼軍曹。1マナで大きなダメージを生み出せるので後半のスズメバチ・ドリンカーなどのバーストプランとかみ合うし、対アグロにはトレードミニオンに打つことで有利な盤面を維持できる。
 クエストシャーマンにおいて興味深いのは重いカードがこのデッキではうまく働かないということ。一見このデッキはミニオンハガサやシアマト、リンチェン、含み笑う発明家と相性が最高に見えるが、これらはどれも遅すぎて効果的でない。シャダウォックだけは採用価値がある。
 現在はもっとアグレッシブなデッキの方がラダーでは強い選択肢のようである。
アグロオーバーロードシャーマンはドゥームハンマー・岩穿ち・溶岩爆発などのバーストを抜いてトークンと血の渇きで決めに行くデッキになり、魔古の肉細工師やマーロックの魂、ヴェッシーナを採用している。ヴェッシーナの強さは狂っており、トークン型を組む大きな理由になっている(とはいえドゥームハンマー型も今後しばらくは監視する予定)。このデッキにおいて驚くほど実力が低かったのは砂嵐のエレメンタルで、雷雲という小型のAoEと同じか上位互換の能力をもつミニオンを採用しているこのデッキでは枠がかぶっている。何を入れるべきか我々も自信のない枠がひとつあり、現時点では呪術を入れている(カエルの精霊とシナジーがあり、メイジとプリーストに強い)。
マーロックシャーマンはミーラックとフィッシュフリンガーによって加速している。これらの序盤向けマーロックはタイドコーラーの攻撃力を安定して上げる助けになり、コストに充分なスタッツもある。より序盤にフォーカスすることで、ハガサ2種とシャダウォックは抜かれている。これには2つ理由がある:

  1. ウォリアーが挑発を手に入れたことで、これらのカードは以前よりもウォリアーに効果的でなくなっている。対ウォリアーのレイトゲームでは盤面が押されている可能性が高いので、こういったバリュー生成のカードは価値が低くなる。盤面が弱ければ、それだけ墓所の番兵で顔を押されるのに対処しにくくなる。
  2. これらのカードはメイジに対して無力。今日びメイジ(とウォリアー)には最序盤からスノーボールしていくことがより重要で、ターン8や9にリソースを得ることはもはや重要でない。彼らが5ターン目に銀河を打って貴方が彼らを殺せていなかったら、ハガサやシャダウォックを打てる頃に貴方はもう死んでいるだろう。

シャーマン:クラスレーダー
突然変異クエストシャーマン
アグロオーバーロードシャーマン
ウルドゥム期マーロックシャーマン

パラディン

 失望と驚きを通じて、パラディンは新拡張において何らかの位置づけは手に入れた。最優秀デッキには入らないが、現在のメタにある種のインパクトを与える程度には戦えるクラス。
 予想構築のマーロック鮮鯛マーロックパラディンはただのネタではなく、むしろ非常に強いデッキが生まれてしまった。プリズムレンズによってパラディンは最速5ターン目に相手を吹き飛ばし、AoEを強いるかそのまま勝ち切ることができるようになった。アグロもまた5ターン目までに有利を取らなければ対処不能になってしまう。そして2回のマーロック鮮鯛を耐えきったとしても、シェフノミとゼフリスが待っている。トップメタのデッキだけがこのデッキに立ち向かうことができる。
 エスパラディンもまた驚きをもたらした、ウルドゥム初週で最も成績が良かったクエストはパラディンだったため。これを予想できた人間は誰もいないと明言できる。しかし他のクエストデッキと異なりクエスパラディンは構築が一直線で迷う余地がないため、他に比べて強いスタートダッシュを切れたと考えられる。クエスパラディンは非常に両極化されたデッキで、悪党同盟のメカパラディンよりもさらに極端。ウォリアーを完璧に叩きのめし、プリーストに完璧に叩きのめされる、これらはゲーム全体でも最も明確なマッチアップ。このアーキタイプが今後のメタでも生き残れるかは大いに疑わしいのだが、もし貴方がウォリアーを潰したいのならこのデッキがある。
 その他のパラディンデッキは残念。ビッグパラディンはラダーには依然としておすすめできないネタデッキであり、ハイランダーパラディンは探検同盟側の4人の中で最弱のハイランダーデッキ。かなしいサーフィンレーの現環境における唯一の役割はマロパラの中でリバー・クロコリスクになることだけ。
パラディン:クラスレーダー
鮮鯛マーロックパラディン
クエストメカパラディン

ローグ

 ローグはこの拡張において、少なくとも初週においては、確かにいくらかの立場を失った。理由の一つは他のクラスが大幅に強くなったことだが、それ以外に他のクラスよりも改良が遅れているのも理由。
 エストローグは統計上は弱く見えるが、最も一般的な構築はいくつかの、端的に弱い(と我々が考える)カードによって汚染されているため、このセクションではこのアーキタイプにより成功の機会を与えてくれそうな新しいアイデアについて説明したい。クエストローグの問題はウォリアーやメイジに対して明確で安定した勝ち筋を与えられていないために、それらのクラスに吹き飛ばされてしまうことにある。
 J_Alexander氏の構築に採用された未来を感じるコンボはトグワグルの計略とテス・グレイメインで、テスを埋めることでウォリアーに対して無限にボードを再生できる。提案は計略をより安定して使うため、テスに加えてトグワグル本体も採用すること。それに結局のところレイトゲームになるならトグワグルは入れ得になる。トグワグルのワンダーワンドによってグレイメインをより安定して引けるようになり、また万が一テスが来なかったとき代わりに計略の対象になることもできる。
 クエスト進行に関しては、失敬はかなり弱いため構築しないほうが良いことが分かってきた。驚いたのはブライトウィングや貌を蒐めるものがクエスト加速に使えることで、これらはテスのバリューも上げてくれる。より安価な代替手段は掏り取りで、レイトゲームにおいては失敬よりも強いクエスト加速になる。
 現時点ではもっと強さが証明されているデッキがアグロローグ。基本的には、予想構築の記事で述べたように、ぶんどり部隊ローグからぶんどり部隊を抜いて武器を4枚積み、0マナで悪辣を出すのが狙い。特筆すべきテックカードはBoarControl氏が採用しているゼフリスで、最低でもラプターになりつつ場合によっては不安定元素後にフィニッシャーを持って来れる。シェフノミと違ってゼフリスは軽いため、不安定元素がない時に手札で腐り続けることがない。他に目立つのはフェアリードラゴンとヘンチクランのゴロツキ。どちらもメイジにつよいがウォリアーに弱いため、ウォリアー環境なら致死毒やチョッキンガーを入れたほうが良い。
ローグ:クラスレーダー
テス・クエストローグ
アンチメイジ・アグロローグ
ゼフリス・アグロローグ

プリースト

 悪党同盟期間のほとんどをクズ底ですごした後、今プリーストに運命の転換期が訪れている。ウォリアーとメイジがメタを支配しているように見える今、コンボプリーストは実際最強デッキの冠を奪い取る可能性すらあるデッキ。
 コンボプリーストの最も重要なブレイクスルーは実はvSデータリーパーのチームラボそのものから生まれた。Alice氏とTubu氏によるクエストなしコンボプリーストのポテンシャルが通知されたとき、チームのZachOがデッキを微調整してライトウォーデンと聖なる波紋入りのデッキを作った。聖なる波紋は特により速いデッキとのマッチアップにおいて強く、しかしライトウォーデンこそがこのアーキタイプの概念を変えた。1マナでスノーボール可能な攻め札としても使え、倍増腕のターゲットとしても優秀、またレイトゲームにアメトと合わせれば泡吹き狂戦士並みのパワーソースになる。我々の構築がTwitterで広まるとライトウォーデンは広く定着し、コンボプリーストの勝率は大幅に上昇した。
 今日、コンボプリーストはメタを破壊するマッチアップ分布をもつ、弱点のないデッキだと見られている。ゲーム全体のあらゆるデッキを打ち砕き、上位帯の成績によってスキルキャップも非常に高いことが示唆されている。ミニオンだけでも強力なマナカーブが形成されており序盤から相手を圧倒できる一方、リソース管理の法則は非常に難解で、ライトウォーデン、聖職者、熱狂する火霊術師といつ何を組み合わせるかあまりに複雑な状況に何度も当たることになる。
 構築の観点では、現在ラダーで見られる構築から離れる理由は特に見つからない。沈黙系の効果はおおよそ過大評価されており、大いなる解呪は主に墓所の番兵といった多数の挑発を抜くために使われる。聖なる波紋はシャーマン、ウォーロックパラディンに対して非常に強く、火霊術師と組み合わせることで強力な盤面除去になる。しかし、もしメイジとウォリアーしか存在しない環境にいるなら抜いてもいい。Meati氏がトップレジェンドを達成したリストは解呪と波紋のかわりにクレクレ君とマダムラズールを入れた構築で、ウォリアーにかなり寄せたもの。
 そのほかのプリーストにはあまり望みはない。プリーストのクエストはどうやら釣りで、壁プリーストは強そうなそぶりすら見せず穴に籠ってしまっている。
プリースト:クラスレーダー
ライトウォーデン:コンボプリースト

ドルイド

 ドルイドは自分が何をしたいのか理解するのに苦しむ一週間を送った。新クエストによる基礎力の高さには希望が見えるものの、その上に乗せるべき勝ち筋として最良なのは何かが難しい。ただ両選択の「グッドスタッフ」を置いていくだけでは環境を押すには物足りなく、特別なフィニッシャーを用意する必要がある。
 期待できる勝ち筋は主に二つあり、それらは構築で同じ枠に入るため互いに入れ替え可能。第一の勝ち筋はマリゴスで、二つ目はノミ&ファオリス。どちらも、ウォリアーを安定して倒したければエリーズが必要になる。
 マリゴス型はマリゴスとドリームペタル、月の炎を使う。理想的にはマリゴスを安くして、エリーズで増やしてフループと月の炎で大ダメージを出す。これを完全に実行するには手札のスペースが大量にひつようなため、この構築では洪水が邪魔になる。有利な点は盤面を無視してダメージを出すため凍結に弱くないこと。
 ノミ型ではシェフノミ、セナリウス、ファオリスを使う。ファオリスやセナリウスは早めに出して除去を釣り出し、デッキの終わり間際にノミとフループをエリーズでコピーしておく。1枚のエリーズで実質4枚のノミが手に入り、(大抵は不必要だが)手札にスペースがあればもっと増やすこともできる。この勝ち筋の方が実行しやすく、またファオリスやセナリウスをフループでコピーといったより速いプランも取れる。また対ウォリアー勝率もこちらのほうがかなり高く、実質無限に盤面を作れてダメージ枯れの心配がないため。総合的に我々はノミ型をラダーでは勧める。
 コンボクエスドルイドのカード選択においては、ドロー、除去、手札管理が全てを言う。コンボに到達するためにドローがいる。生き残るために除去がいる。そしてコンボピースをエリーズでコピーするのをより簡単にするため、容易に手札からカードを捨てられるほうがいい。以上の理由により、飛び掛かりと練気がどちらも入っている。
 プレイヤーはトークドルイドを使うことにあまり魅力を感じていないようだが、このデッキは現在のメタでも立場を失っていない。洪水を採用してガーデンノーム、マルチマンチャー、アヌビサスの守護者とコンボを組むのは興味深い。この構築は悪党同盟で見られたアグロ系のものより、メカメカ大作戦時代の序盤は耐えて後半にビッグターンを作るタイプに近い。
ドルイド:クラスレーダー
ノミ・クエストドルイド
マリゴス・クエストドルイド
洪水トークンドルイド

ウォーロック

 ウォーロックは今回もズーでしか環境に絡むことができないのではないか、という不安は的中している。エスウォーロックが予想通り失敗して遅い戦略は使い物にならないと判明した今、アグロデッキがグルダンの持てる全て。信頼できる回復カードを手にするまでは、ロングゲーム及び自身のヒロパによるダメージを生き残るのは難しい。しかしもしウォーロックが現在のメタで後半まで生き延びることができたとしても、他のクラスに比べるとウォーロックに使える勝ち筋は悲しいほど少ない。我々はあらゆる種類のどんでん返しデッキを観測し、その中にはメックトゥーンデッキもあったが、すべてが確実にTier5で、これでも寛大な評価。
 ズーウォーロックは確かに戦えるのだが、構築には縛りが多く難しい。いくつかの強力なカードを十分に利用するために、それをサポートするためのカードを多数入れなければならない。悪党同盟の人事担当はフルに手先パッケージを入れてサポートすれば非常に強いが、1枚でも手先を減らせばその分弱くなっていく。悪党同盟の異才も恐るべき手先生成能力だが、自滅の対象にできる優秀なミニオンが必要。魔法の絨毯は手先との相性がいいが、ちゃんと使うためにはもっと多くの1マナが必要。そこに病魔のハゲタカとネフェルセト・スラッシャーのペアも加えたい。
 なのでこれらすべてのパワーカードを全部ひとつのリストに入れようと試みた。結論としてはナイフジャグラーとダイアウルフリーダーという現時点では特に強くないミニオンを入れるべきだということ。ヘビの卵はスカラベの卵より強い、とくに海の巨人(メイジ・ウォリアーメタでは弱い)を入れない場合。掲載のリストはラダーで一般的なものよりも改良されていると我々は考えるが、それも将来のメタの変化次第。

ウォーロック:クラスレーダー

手先ズーウォーロック

今週のメタブレイカ

 コンボプリーストが今週の話題の中心であり、特に上位帯ではメタの風景そのものを一変させようとしている。目立つ弱点が一切ないデッキであり、これをウルドゥム初週の最強デッキと言わざるを得ない。またクラフトコストは安いが、皮肉にも新規プレイヤーに適したデッキではなく、使うのが非常に難しく、上位プレイヤーにとっても複雑すぎる状況が頻繁に発生する。
 スマートにメタを読みたい、みんなの一歩先を行きたいあなたにはハイランダーハンターが素敵なチョイス。メイジ、ウォリアーと今やプリーストを巡る熱狂の中で、ハイランダーハンターはこれらすべてのデッキに強い、いい位置にいるデッキ。
 次の更新は来週。プリーストの時代が待っているだろう。
コンボプリースト
ハイランダーハンター