虚無層

exit from society

vS216(アルタラック②・2021/12/31)雑翻訳

 ZygoteっていうSFショートフィルムが良かったです。YouTubeで公式見れます。ちょいグロ大丈夫ならおすすめ

 前回記事以降のバランス調整……

・《星界配列》《アライアンスの旗持ち》《高効率型T4COロボ》《降雪の守護者》《ナスレズィムの接触》《ルーン刻印ミスリル・ロッド》《ブラッドセイルの甲板員》《アイアンディープのトログ》《モアーグの加工師》弱体化

・《獣の追跡者タヴィッシュ》《物知りヨウム》《魔導師ドーングラスプ》《山火事》強化

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-216/

クラス・アーキタイプ使用率解説

 バランス調整は何も変えなかった、という早とちりの言説に騙されてはいけない。このレポートは、少なくとも我々の労働時間という点で、これまでで最大のものになった。新しく生まれたデッキたちに関する情報量は前代未聞であり、これまでのどのレポートよりも完成が遅くなった。処理すべき情報がたくさんあり、新デッキは多くの微調整を必要としている。

 まずはローグから。泥棒ローグの秘策ビルド(今回は「秘策ローグ」と表記している)が最も期待できると言ったのを覚えているだろうか? 忘れてください。泥棒ローグは数日のうちに全てが変化し、秘策ではないビルドが高レベル帯で爆発的な人気を博したのだ。構築の自由度が高く、ランクによって泥棒ローグの構築には大きな違いがある。毒ローグもまた、トップレジェンドでますます一般的になっている。クエストローグも控えめな人気を保っているが、ワイヤーローグはタコロボのナーフを受けてプレイ数が落ちている。

 メイジはバフを受けたおかげで注目を集めた。山火事メイジは非常に雑多な構築が多く、たくさんの実験が行われている。私たちはおそらく、このデッキをいくつかのバリアントに分割することを今後試みていくが、それに関する良い情報はすでに今回のレポートにたくさんある。モザキメイジはバランス調整で触れられず、一方で、ライバルであるコンボ戦略のいくつかは対処されたため、特にレジェンドトップでプレイが増えている。

 シャーマンは《降雪の守護者》のナーフによって打撃を受けたが、それでも選択肢は多様にある。5種類以上のシャーマンのアーキタイプがプレイされており、6種類目も控えている。凍結、ボルナー、バーン、エレメンタル、そしてクエストシャーマンがラダーに一定以上存在する。進化シャーマンもわずかながら姿を見せ始めている。

 ハンターは、クラス内の他のアーキタイプがあまり人気を集めていない中で、フェイスハンターを運用する、という毎度のパターンに落ち着いている。しかし、ビッグ獣ハンターは洗練段階にあり、パッチ前にお伝えしたヴァンダル型に全面的に注力している。クエストや秘策ハンターも微かな動きを見せている。

 ドルイドは、まるで《星界配列》のナーフが、新しい戦略を形成するために必要なビッグバンであったかのように、とんでもない種類のデッキ群に分かれ、増えている。クエスドルイドが熱狂を浴びている。様々な種類のランプドルイドがプレイされている。ピエロドルイドも潜んでいる。クトゥーンドルイドさえ現れている。また、挑発、獣、ドレクサーなど、アグロ系のドルイドデッキもメタを握ろうとしている。

 デーモンハンターも多様なクラス。フェルデモハンが第一アーキタイプとなり、第二は断末魔デモハンになりそうだ。加工師のナーフによる生命奪取デモハンの死の灰の中から、暴れん坊クエストデモハンが台頭しようとしている。

 パラディンは《アイアンディープ・トログ》のナーフに対する調整をほぼ完了しており、聖典もバフパラディンも次のステップに踏み出している。他のクラスと比較して、あまり多くの実験は見られない。

 ウォーロックは、そのほとんどのデッキに別れを告げているところ。最も顕著なのは、パッチで複数のナーフを受けたフクロウウォーロックが死に絶えつつあること。メタの発展が最も進んでいる場所(トップレジェンド)でまともにプレイされている唯一のウォーロックデッキは、ハンドロックである。

 ウォリアーも同様で、クエストウォリアー以外の戦略は微塵も見当たらない。プリーストはパッチ前と同じパターン。ラダーではビッグプリーストとクエストプリーストがよく見られるが、トップレジェンドではミラクルプリーストだけが残り、マリゴス型とラリー型に分かれており、後者は《アイアンディープ・トログ》のナーフによって弱体化している。

パワーランキング解説

マッチアップ分布

パワーランキング

 現在のメタについてまず言いたいのは、プレイヤーベースにもコンテンツクリエイターにも処理しきれないほど多くの有力なデッキがこのフォーマットには存在するということ。とんでもない数の競技レベルデッキがほとんどプレイされず、改良作業もほとんど行われていないのだ。私たちは、サンプルサイズの小ささに悩まされながら、それらすべてに対応し、掲載デッキを組むためにたゆまぬ努力を続けてきた。これらの新しいデッキは、当然ながら改良を重ねてきた既存のデッキよりも見劣りするため、真の勝率を見極めるためには試験運用の必要がある。このような理由から我々は、有望と思われるが十分なマッチアップデータがないデッキのために、低サンプル推定表を追加している。

  • ローグ
    • 泥棒ローグは最強デッキである。トップレジェンドでの性能は、ラダー全体での性能をはるかに上回っているが、これはワイヤーローグのようなデッキではない。この性能差は、主に構築の改良が高レベル帯で進んでおり、まだ下位には浸透していないことによってもたらされている。また、このアーキタイプはずっとネタデッキだったため、低ランクではネタ構築を自然に引き寄せてしまう。今は違う。泥棒ローグは、今後数週間のスタンダードの流れを決める、メタを定義する戦略なのである。
    • 泥棒ローグの最も興味深い点は、《ワイルドポーのノール》によるイニシアティブの確立、つまりアグロデッキの盤面を否定することに秀でている点。これに対抗する最善の方法は除去であり、その成功は、強力な防御手段を持つ、より遅い戦略を促進する。平たく言えば、「コントロール」を促進するのだ。
    • もちろん、ヴァリーラは盤面外戦略も無視できない。毒ローグは非常に強力なようで、特にレジェンド上位では泥棒ローグと並んで明確にTier1の性能を持っている。しかし、以前のメタとの最大の違いは、毒ローグはもはやトップレジェンド専門のデッキではないらしいということ。試しにプレイしてみよう、ラダー全体で非常に強いはずだ。おそらく、このアーキタイプにとって、今までで最も強い時代が来ている。
    • エストローグも忘れてはいけない。このデッキは非常に強力で、メタが最も競技的な(勝率のバランスが取れている)トップレジェンドでも、勝率は少し落ちるだけだ。パッチ後当初のクエストローグは泥棒ローグよりも強いように見えたが、泥棒ローグの大幅な改良によって状況が一転した。泥棒ローグには改善すべき点が多くあったが、クエストローグの最適なビルドはすでに確立されていた。
    • タコロボのナーフはワイヤーローグを消滅させるものではなかった。このデッキはまだ非常に有効で競争力があるが、そのプレイ率を下げている主な原因は、より強いローグデッキが3つあるという事実。時代は変わる。
  • メイジ
    • 山火事メイジは一般的に最悪に見えるが、すでに言ったように、このアーキタイプは構築がひどく混乱しており、”お掃除”の必要がある。最高のビルドなら、少なくともTier3は確実。つまり、現在の使用率は流石に多すぎるということになる。しかし、少なくともバフ前よりは強いデッキとして残ることになるだろう。もはやネタデッキではない。
    • モザキメイジは当初、トップレジェンドでプラスの勝率を示したが、プレイヤーはそれに嫌気がさし、毒ローグを使い始めた。その”不愉快”なプレイパターンのせいで、環境はこのデッキが強くなりすぎることを拒否しており、我々はこの問題に取り組む必要があると考えている。《詠唱者の循環》が1枚使われた時点で、早ければ6ターン目に《モザキ》を引いた瞬間に相手が死ぬことを意味する。それは許されるべきではない。
  • シャーマン
    • 凍結シャーマンは、おそらく他のどのシャーマンデッキよりも、《降雪の守護者》のナーフの影響を感じているが、我々はこのデッキを見捨てることはしないし、まだ競争力を維持していると考えている。このデッキは30枚の良いリストを完成させるためには、あと数枚ぶんの枠が残っている。
    • ボルナーシャーマンの方が強そうに見える。より遅い戦略なので、守護者のナーフによりうまく対応できる。速いマッチアップのためのより良い防御手段と、より遅いマッチアップのいくつかで非常に効果的な、レイトゲームのフィニッシャーを持っている。
    • エレメンタルとクエストシャーマンがどちらも極めて過小評価され、プレイされていないのは、おそらくそれらが「古いデッキ」であるからだろう。クエストシャーマンの悪いマッチアップの多くがナーフされ、エレメンタルシャーマンも様々な戦略に対して強い。また、2つの武器パッケージによって柔軟性が追加されたことも助けになる。
    • バーンシャーマンは、最も成績の悪いシャーマンデッキであり、改善の余地も低いことを考えると、間違いなく過大評価されている。
    • ではシャーマンの最強デッキは? それはパワーランキングに記載されているものではなく、小さい方の表に記載されているかもしれない。進化シャーマンは非常に有望で、全く改良が進んでいないことを考えると、Tier2は控えめな評価と言えるだろう。ボグスパイン・ナックルも小さなおもちゃも仕事しているが、人々はそれに気づいていない。今はまだ。
  • ハンター
    • 変わらないものもある。フェイスハンターは今でもスタンダードで最高のデッキの1つであり、ジャンキーなデッキを破壊することを楽しんでいる。フェルデーモンハンターや泥棒ローグとの対峙が増えたら、どうなるか……。
    • 変わるものもある。ビッグ獣ハンターはいい感じ。より過酷で洗練が進んだランクでは悪い結果になるようだが、改善できる点もいくつかある。ビッグ獣ハンターは競技性を維持し、フェイスハンター以外の真の選択肢を提供する可能性が高い。キューブハンターの頃を懐かしむプレイヤーにとって、このデッキは似たようなレイトゲームの体験を提供してくれるだろう。
    • エストハンターもプレイアブルに見えるが、一般的なビルドでは、明らかなミスが1つある。我々の推定によると、秘策ハンターも同じくらいのパワーがある。
  • ドルイド
    • ドルイドのデッキがこんなにたくさん! さっそく全部見ていきましょう。詳細はクラス別の欄で。
    • 配列ドルイドは死んだようだ。
    • エスドルイドミニオンに弱い。コレは問題だ。
    • クトゥーンはおそらく、ランプドルイドのフィニッシャーとして適切ではない。
    • カーニバルのピエロ、グローフライの群れ、そしてヨグサロン、これらはランプドルイドのフィニッシャーとして適切なようだ。ピエロドルイドと2種のランプドルイドは、最低でもTier2のポテンシャルがある。
    • 挑発と獣ドルイドはどちらもTier1選手。挑発ドルイドは悪いビルドに引き下げられているが、最良の構築はベストデッキと戦える。獣ドルイドはまだ新しいが、すでに強い兆しがある。ドレクサードルイドも再登場してきており、有望な(見方によっては恐ろしい)新フォームになっている。
  • デーモンハンター
    • フェルデモハンはフェイスハンターが最も恐れるもの。このデッキはまだ完全に解明されておらず(それがトップレジェンドでより良いパフォーマンスを発揮する理由でもある)、バランス調整後に劇的な変化を遂げつつあるようだ。フェイスハンターと泥棒ローグの両方に対して有効であることを考えると、改良の突破口が見つかればTier1のデッキになることは目に見えている。現在のマッチアップの弱点も修正できると思われるカードが1枚ある。来週のメタブレイカーかもしれない?
    • 断末魔デモハンはどのレベルのプレイでも素晴らしいデッキだが、慟哭の洞窟あたり依頼プレイされつづけている「古い」アーキタイプであるため、比較的数が少ないのかもしれない。
    • イルギノスは去った。怒縛の暴れん坊が戻ってくるかもしれない。クエストデモハンは、探求する価値のあるスリーパーデッキのリストにまた名前を連ねた。暴れん坊で行こうぜ!
  • パラディン
    • 聖典パラディンは今でも素晴らしいデッキで、スタンダード最強デッキのいくつかに完璧に回答することができる。クエストウォリアーへのカウンターとして、レジェンドへの安定した上りを目指す人には最適。泥棒ローグが高レベルで出現し、クエストローグと秘策ローグという最も厳しいカウンターデッキが少なくなっていることも、このデッキの利点。トログのナーフは序盤戦に打撃を与えたが、聖典パラディンは常に後半に行くほど強いデッキであり、構築の調整は難しくなかったようだ。
    • バフパラディンはまあまあ。最大の問題は、聖典パラディンのほうが明らかに優れたデッキであるため、これをプレイする理由がないこと。トログのナーフはこのデッキにも大きな影響を与えた。
  • ウォーロック
    • ラダーにおけるハンドロックの状況は、これまでと逆になっている。以前はトップレジェンドでのみ特に好成績を残していたデッキだったのだが、今ではトップレジェンドで壁にぶつかるがラダーでは圧倒的に強い。その理由はモザキメイジと、モザキメイジに対抗する毒ローグの存在にある。それらのマッチアップとフェイスハンターはこのデッキにとって問題。
    • それでも、ハンドロックは明らかに強者であり、スタンダードで最強の泥棒ローグへのカウンターである。魂裂破はチート級の強さを誇り、今後の展望を考える上で重要な意味を持つはずだ。
  • ウォリアー
    • さて、ワイヤーローグがこれまでで最もスキルを要求されるデッキだという話を覚えているだろうか。クエストウォリアーはアンチ・ワイヤーローグ、つまり今まで見た中で最もスキルを要求”しない”デッキかもしれない。このデッキはブロンズからゴールドまでを支配している。プラチナを支配する。ダイヤモンドも支配する。レジェンドでは最高のデッキの1つ。しかし、トップレジェンドになると、Tier3まで沈んでしまう。レベルアップするとマッチアップが大きく変化する。平均で8%の差がある。このデッキはラダーのほとんどのプレイヤーにとってOPに感じるが、もしあなたが、クエストウォリアーに文句を言っている人に嫌がらせをしたいなら、「努力しろ」と言えばいい。それは実際正しい。正しいが、あなたは嫌がらせ野郎になる。嫌がらせはやめましょう。
  • プリースト
    • かわいそうなプリースト。ビッグプリーストは弱い。クエストプリーストも弱い。
    • ラクルプリーストはまあまあ。勝率はTier3程度と推測されるが、このアーキタイプのラリー型はTier2になる可能性がある。この複雑な戦略を学ぼうとする人たちのための、競争力のあるデッキを用意した。しかし、数日プレイすれば、影業師スキャブスにキレ続けることになるだろう。

クラス別分析

ローグ

 泥棒ローグは、バランス変更後に行われた改良がうまくいき、高レベル帯スタンダードのベストデッキとして浮上した。このデッキはラダー全体を通して強力だが、このアーキタイプは生まれながらの性質として、劣悪でネタ寄りのカードを採用する傾向があるため、低ランク帯では真の性能を見ることができないかもしれない。

 ワイルドポーのノールを出来るだけ悪用するのがポイント。マエストラのおかげで、変装中に引くローグのカードは全てノールのコストを下げ、また交換をしても変装は解除されないため、《ブラックウォーター・カトラス》や《SI:7の強要》はノールと優れたシナジーを持つ。また、最初にプレイするカードが《秘密の通路》であれば、変装が解除される前に、《通路》によって《ノール》のコストが下がる。つまり、ゲーム序盤にノールや《二重スパイ》で相手を圧倒するのが基本的なプランとなる。

  ノールと二重スパイの一貫性をさらに高めるために、「良い」泥棒カードを採用する。怪盗紳士、ワンド泥棒、偵察である。このデッキをさらに優位にする、とある追加カードが見つかった。《段取り》はごく最近プレイされ始めたもので、デッキのコアカードのようだ。偵察をさらに良いものにする。ワンド泥棒をより良くする。ペテンをより良くする。エドウィンとの相性も抜群。デッキに入れてみれば、その良さにすぐに気がつくだろう。掲載の構築こそ、スタンダードで最高のデッキ。

 このアーキタイプには他にもビルドがあるが、より劣っていると判断した。狐の騙し屋とコールドトゥースのイェティを使ったコンボパッケージは価値がない。これらは序盤に強いかもしれないが、あなたはすでに優れた序盤のゲームプランを持っているし、これらのカードはゲームが進むにつれて著しく悪くなっていく。卓上インプ、マーロック・タイニーフィン、フロストウルフの戦将を使った「キュート」型はハイロールの瞬間はあるものの、信じられないほど一貫性がなく、デッキに中立を多く入れるとワイルドポーのノールに支障をきたすことになる。

 この新しいバリエーションは、バランス調整前の秘策ローグの構築を完全に凌駕している。秘策パッケージは、《脳天直撃ガール》による除去と《隠し禁制品》によるバリューに重点を置いた、低圧の構築になる傾向がある。秘策自体を辞める以外に、より「速く」するのは難しい。

 しかし、ローグは新アーキタイプ以外にも多くの成功を収めている。エストローグはパッチ前と同じ構築で非常に強い。邪道刺しはペテンを悪化させるので、このデッキには入れないようにしたい。バースト手段はバトルマスターやスマイト/テンウー/影隠れで。

 毒ローグも嫌になるほど良い。ギルドの商人を使ったフルバーン型がよさそう。猪牙の利器が見つからない場合はカトラスでダメージを与えることもできるが、カトラスの最も一般的な役割はギルドの商人で対戦相手を仕留められるようにバーンスペルのコストを下げることである。

 高効率型T4COロボのナーフはワイヤーローグを絶滅させるほどではないかもしれない。高レベル帯ではまだ非常に競争力があるが、不思議なことに今やワイヤーローグはクラス内の他のデッキよりも弱い。泥棒ローグはこのクラスでは他に類を見ないほど序盤を支配できるし、毒ローグの終盤のダメージ・ポテンシャルも無類。ワイヤーローグをプレイする大きな理由がないのだ。

ローグ:クラスレーダー
十面相の泥棒ローグ
影業師クエストローグ
影業師ポイズンローグ
影業師ワイヤーローグ
秘策泥棒ローグ

メイジ

 メイジのバフによって、失敗していた山火事メイジアーキタイプへの関心が再び高まり、このデッキは多くのプレイと実験が行われた。かなり良くなったように見えるが、山火事メイジがトップクラスの性能になるとは思っていない。せいぜい、プレイできるようになったという程度だ。

 さまざまなゴミがある中で、比較的強い方向性を持っているのが2つある。1つ目は、マルチキャスターの方向性。低マナカーブで安価な構築で、唱えやすくマルチキャスターのエサにしやすい低コストの呪文を中心にしている。この構築の目的は、積極的にドローを行い、《魔導師ドーングラスプ》と《モードレッシュ》をより安定して見つけられるようにすること。このデッキがゲームに勝てるかどうかは、勝ち筋をドローし、バーンできるかどうかに大きく依存するため、このプランはうまく機能しているようだ。ほとんどの呪文が軽いが、ドーングラスプは依然として単体で強力。

 2つ目のビルドはより重く、大魔術師のルーンやふらついた配達人などのビッグスペルパッケージを走らせている。アイスバリアと深海の喚起師はバーンダメージに対する耐久に必要なアーマーを与えることができる。序盤戦が受け身になりがちなので、焼け残り特売は非常に重要なボードクリアを提供する。魔力オーバーフローは物知りヨウムと相性が良い。集団動物変身はパラディンやハンドロックのようなマッチアップで活躍することができる。大魔導師ドーングラスプはこのデッキでは、プレイされた瞬間ゲームに勝つことができる。

 両ビルドのパワーは非常に近く、そのマッチアップの分布は、見た目の違いから判断するほどには変わらない。ビッグスペル型はパラディンとデーモンハンターに対してより優れている。バーンに依存する戦略に対して、より良いパフォーマンスを発揮する傾向がある。マルチキャスター型はハンターや他のメイジに対してより良い効果を発揮する。こちらがビートダウンの役割を担うようなマッチアップで、より良いパフォーマンスを発揮する傾向がある。

 モザキメイジは「ソリティア5」の中で唯一ナーフされなかったソリティアデッキ。そのため、パッチ後当初はメタにおける立ち位置が大幅に改善され、今ではトップレジェンドでもごく一般的な対戦相手となっている。しかし、このデッキは多くのプレイヤーのヘイトを貰っており(このデッキよりもクエストメイジのほうが相手をして楽しい、インタラクティブだと思われたようだ)、それによってある程度は抑えられている。このデッキは、より遅い戦略が成功できるかどうかの、ちょっとした門番のような存在になっている。

メイジ:クラスレーダー
マルチキャスターモザキメイジ
マルチキャスター山火事メイジ
ルーン山火事メイジ

シャーマン

 凍結シャーマンは降雪の守護者のナーフの影響を感じているが、このデッキは最後の2枠の構築を理解すれば勝率を回復できると考えている。クサリヘビは主にミスリルロッドのために入れていたので、もう採用する価値はないのだが、このデッキは充分な代わりを見つけるのに苦労しているようだ。プレイされているものの中では《蛇寺院のポータル》が最良の選択肢のようだが、誰かがもっと良いカードを見つけても驚かない。

 ボルナーシャーマンは、クサリヘビよりも優れたカードを見つけやすい。以前も利用していた、競売ハンマーを再び採用すればいい。降雪の守護者が6マナになったことで、ハンマーの割引によってダンクタンクやサーカスの救護員を変妖しにくくなる可能性が低くなり、多くの雄叫びミニオンを運用するデッキにおける競売ハンマーの利点は確実に大きい。

 バーンシャーマンは多くの誇大広告を受けたが、その結果はあまり良いものではない。様々なシャーマンのデッキの中で、最も弱いかもしれない。このデッキは《マルチキャスター》《ダンジョニア》《コンゴウインコ》によって多くのドローパワーを得ているが、対戦相手は通常バーンを引く時間をあまり与えてくれないし、最近ナーフされたいくつかのデッキとは異なり、ドローに”マナを消費する必要がある”。

 エレメンタルシャーマンは全シャーマンデッキの中で最も強い結果を示しており、そのプレイ率はむしろ、新しい選択肢がある中で、プレイヤーが同国の洞窟から存在しつづけるデッキをプレイすることにあまり熱心でないことを示している。凍結型はラダーのほとんど全体で最高で、ドゥーム型はレジェンドトップのスペシャリスト。

 エストシャーマンもまた、良い結果を出している「古いデッキ」。高速コンボ戦略に苦戦しがちなこのデッキは、バランス調整によって大いに助けられた。必ず《寒風》4枚を採用すべき。

 そして、進化シャーマンに気をつけよ。このアーキタイプは、チーム5がクリスマス休暇に入るたびに忍び寄るのが好きなんだ。今回はクリスマスを台無しにすることはなかったかもしれないが、未熟な構築でさえ非常に良い結果を出していることを考えると、このデッキには多くの可能性があると思われる。今回紹介したリストは、進化シャーマンのサンプルが少ないという制約の下での、暫定ドラフトに過ぎない。我々の予想が正しければ、このデッキは非常に競争力が高く、その改善次第でTier1に押し上げることさえ可能だろう。《小っちゃなおもちゃ》は現在のスタンダードでは非常に強い。

シャーマン:クラスレーダー
マルチキャスター凍結シャーマン
ボルナー変妖シャーマン
マルチキャスターバーンシャーマン
凍結エレメンタルシャーマン
ドゥームエレメンタルシャーマン
マルチキャスタークエストシャーマン
凍結進化シャーマン

ハンター

 フェイスハンターは最高のデッキの1つ。今はね。アイアンディープ・トログはこのデッキの中で最高のカードである。今もね(!)。新情報? 《トゥルーエイム・クレセント》がより多くプレイされるようになり、《衝角の乗騎》との組み合わせがあまりに強力なので、《魔力異常体》を抜き、《教団の新入会員》のことを忘れてもいいと思えるようになった。

 良いニュースは、このセクションがまだ終わっていないことだ。実際、何年ぶりかのように感じるが、ハンターは競技的に多様なクラスとなった。ハースストーンの試合に勝とうとする目的で、他のハンター・デッキを使うことができるのだ。ビッグ獣ハンターは実際強く、バランス調整後はレイトゲームのプラン実行に多くの時間を割くことができるようになり、さらにタヴィッシュの素晴らしいバフを得たので、より良くなっている。我々はパッチ前の構築に少し手を加えて、ドデカいフクロウをペット復活に変更した。残念ながら、あの鳥はやや鈍重すぎた。ふれあい動物園は素晴らしい。

 エストハンターは数が少ないので、改良の機会が少ない。タヴィシュは、早めに引けばプレイした後にクエストで0コスト化できるので、採用価値はありそう。0マナで獣の相棒を連打すればゲームを終わらせることができる。《ダン・バルダーのトーチカ》を2ターン目にプレイするために開幕キープするのは、このデッキの基本的なゲームプランと合わないため、トーチカの採用価値は低い。ふれあい動物園と同時に採用するという実験の価値はあるかもしれないが、それはメインのゲームプランからさらに逸脱することになる。

 これらに比べると弱い新デッキは、ドレクサー秘策ハンター。このデッキはパッチ後に改善し、Tier2あたりには見えるが、スキルの天井が低いためか、レジェンドあたりでTier3に落ちる。どうやら、4ターン目のドレクサーに依存するデッキは、ハースストーンでの深い経験を必要としないらしい、ということが判明した。

ハンター:クラスレーダー
クレセントフェイスハンター
ヴァンダル・ビッグ獣ハンター
秘策クエストハンター
ドレクサー秘策ハンター

ドルイド

 なんて多くのドルイドデッキ……。星界配列ドルイドのナーフ(プレイできないデッキとなった)により、このクラス、特にレイトゲームの戦略に関して、探求するスペースがものすごく広がったようだ。多くのプレイヤーは《野生の心のガフ》をどのように活用するのがベストかを考えており、その結果はさまざま。我々が収集することができた知見を紹介しよう。

 エスドルイドは、昔ながらの盤面型ミニオンデッキ全てに弱いため、おそらく道はない。電光刹花のかわりに過剰繁殖をいれると、このデッキが劇的に強くなることに注目したい。電光刹花が悪いカードというわけではないが、このデッキはランプが欲しくてたまらないのだ。一般的なルールとして、《野生の心のガフ》をプレイしたいのであれば、過剰繁殖も欲しい。また、《コールドトゥース鉱山の確保》から《飛びかかり》を常に見つけることができるのも良い。

 ランプドルイドにはいくつかのバリエーションがあり、どれもそれなりに期待できる。改良が進めば、どちらのタイプもTier2付近に落ち着くことが予想される。呪文中心グローフライ型の、ラダーで一般的なリストの最大の失敗は、マリゴスやヨグサロンのようなミニオンにスロットを浪費していること。菌々財宝/グローフライデッキで運用する価値のあるミニオンは、ボードにすぐに影響を与える安価なミニオンだけ。つまり、自然の語り手ギドラと本影のフクロウだ。

 2つ目のバリエーションでは、レイトゲームの脅威による勝利を目指す。このデッキで意外に感じたのは、旧神たちの強さ。このデッキは、伸縮自在ポーチで見つけるのではなく、デッキに入れることで《ヨグ=サロン》を使うべきかもしれない。ヤシャラージュも怪力男や月触れのアミュレットとかなり相性が良く、これのために重さ当てを1枚抜くことを選択したほど。これは難しい決断だが、重さ宛をマリガンでキープするのは罠であり(ランプカードが欲しいのであって、それ以外はどうでもいい!)、ドロー不足はガフのおかげでそれほど問題ではなくなるかもしれない。

 ピエロドルイドは2つのアプローチがあり、どちらもかなり期待できる。空飛ぶほうきを用いた古い守護獣ビルドを使用し、その上でシンプルにガフを叩きつけることもできるだろう。あるいは、《ヴァンダル》、《重さ当て》、《月明かりの導き》を用いた、より呪文中心のデッキを使うこともできる。守護獣ビルドは常にこのアーキタイプの主流だったが、今回初めて本格的な代理候補を目にすることができた。守護獣パッケージはカードスロットを大幅に消費するが、そのスペースを、同じくらい強力な別のシナジーで埋められるようになった。

 クトゥーンドルイドはダメそう。これも本質的には菌々財宝のデッキで、重いミニオンを採用しすぎてはいけない。亀は万年はこのデッキで最高のカードの1つなので、おそらく2枚採用すべきだろう。

 まだ終わっていない。非ランプ型のドルイドデッキたちが、非常に強力になりつつある。挑発ドルイドドルイドの両方がTier1の可能性を示している。挑発ドルイドは構築を一新して、これまで取り上げてきたトログビルドに全集中したほうがよい。そう、アイアンディープのトログは、このデッキではまだとても優秀である。獣ドルイドは、どのカードが最適なのかをまだ分かっていないようだ。我々はその答えを持っている。《土木作業員》は《魔法のワタリガラス》よりも優れている。《イバラ生えの番兵》は《重荷運びラバ》よりも優れている。《マルベリック》は今クラフトする価値はないだろう。

 最後に、現在弱いデッキのポテンシャルに言及せずには、長文のクラスセクションを終わらせることはできないだろう。トログのナーフの余波で、ドレクサードルイドでは《コールドトゥース鉱山の確保》と《ドレクサー》を全面に押し出すのではなく、代わりにグローフライの群れと草攻凶花を採用することで、かなり良く見えるようになった。これらのカードは単純に良いカードであり、デッキを機能させ、毎ゲームドレクサーコンボに頼らずとも勝利を収めることを可能にしていることがわかった。例えば、クッチャベラードルイドにおけるクッチャベラーコンボをドレクサーコンボに置き換えれば分かるだろう。このデッキの芯にあるのは「グローフライの群れ」なのだ。

ドルイド:クラスレーダー
過剰繁殖クエストドルイド
スペルランプドルイド
双神ランプドルイド
守護獣ピエロドルイド
ヴァンダルピエロドルイド
ランプクトゥーンドルイド
ソリティアマスター配列ドルイド
ドレクサー挑発ドルイド
長ビーストドルイド
劣悪ドレクサードルイド

デーモンハンター

 フェルデーモンハンターはとても良い。このデッキは改良を続けており、パッチ後の最良のリストは《才ある魔術師》と《フェルスクリーム・ブラスト》を再び採用することになる。ここで興味深い質問がある……マグゼリドンはどうなった?

 マグはストームウィンド時代にはデッキの中で最高のカードの1つだったし、現在のスタンダードで彼が悪くなる理由はどこにもない。私たちが収集したいくつかの暫定データは、これが事実であり、このカードは単に見落とされ、忘れられただけであることを示唆している。我々はもう一度《マグゼリドン》をテストすることを強くお勧めする。ダメージ中心の戦略にとって《ライトフォージのキャリエル》があまりにも不利すぎるという理由だけで、クサリヘビはまだ採用する価値がありそうだ。敏速の秘印は道を譲るべきだった。

 モアーグの加工師のナーフの余波で生命奪取デーモンハンターは死んでしまったように見えるが、デモハンのクエストは死んでしまったのだろうか? そうでもない。エストデーモンハンターで獅子奮刃と怒縛の暴れん坊の復活が見られるようで、このデッキは高レベル帯でかなり期待できる。

 断末魔デーモンハンターは確実に競技性がある。構築は解明されたようだ。ビッグデーモンハンターは、どんな構築でも、おそらく成功しないだろう。

デーモンハンター:クラスレーダー
下積みフェルデモハン
ウルズール断末魔ルデモハン
暴れん坊クエストデモハン
下積みビッグデモハン
ヴァンダルビッグデモハン

パラディン

 パラディンはまだ強力。アライアンスの旗持ちのナーフはそよ風レベルだった。アイアンディープのトログへのナーフのほうが、結果的な影響は大きかった。このカードはまだ1マナ帯としてそこそこ使えるが、レイトゲームの成長能力を失ったため、パラディンは他の選択肢を見つける必要があった。

 聖典パラディンは、アイアンディープのトログに代わって、より強力なレイトゲームを提供することになるかもしれない。マーガァとミスター・スマイトが登場し始め、じゅうぶん強く見える。ミスター・スマイトはライトフォージのキャリエルのヒーローパワー及び智慧聖典と強いシナジーを持つ。マーガァはヴァリアンと相性が良い。スマイトはストームウィンド環境におけるパラディンデッキでは精彩を欠くように見えたが、キャリエルのおかげでプレイアブルな状態にまで押し上げたのかもしれない。バトルマスターも有力な選択肢になると見ていいだろう。

 スマイトは聖典パラディンではギリギリ採用ラインだが、バフパラディンでは明確に強い。その点では大化けしている。アイアンディープノトログのナーフで落ち込んでいる? ノームの二等兵を採用してみよう。この1マナミニオンはデッキと相性がいいようだ。掲載の構築はかなり洗練されている。

パラディン:クラスレーダー
スマイト聖典パラディン
ヴァリアン・バフパラディン

ウォーロック

 バランス調整により、フクロウウォーロックと、ミスリルロッド仲間のファティーウォーロックの両方が破壊された。モアーグの加工師のナーフは哀れなチケッタスウォーロックにも直撃し、ナスレズィムの接触にも少し触れられたことで、残ったウォーロックデッキはハンドロックだけとなったようだ。

 ただし、ハンドロックが苦戦しているわけではない。泥棒ローグの活躍によって株が上がりそうな、非常に強いデッキ。ローグの序盤の吹き飛ばしプランに対するこのフォーマットでの最高の回答は《魂裂破》なので、おそらくこのカードは何としてでも構築に入れておきたいところ。自由枠はバランス調整前と同じ。教団の新入会員は、プレイしているランク帯によってで実行価値があるかどうか変わる(基本的にはレジェンドトップでなら使える)。炎の祭壇はよりニッチな選択で、パッチ後には弱体化した。

ウォーロック:クラスレーダー
タムシンクエストハンドロック
フクロウウォーロック
ファティーグクエストウォーロック
チケッタスコントロールウォーロック

ウォリアー

 ウォリアーのクラスでは大きなニュースはない。サーカスのアマルガムはイマイチだが、クエストを進めてくれる。それだけでエストウォリアーでは十分な性能。

 クサリヘビはもう運用する価値はないだろうから、他の交換可カード(《煽り立て》)に交換するのが賢明だろう。これは皮肉にも、トイレ休憩中にレジェンドへ上るのに最適なデッキだ。今まで見たハースストーンのトイレデッキの中で一番かもしれない。”トイレ天井”が非常に高いのは確かだ(訳注:スキル天井が低いことに関するジョーク?)。

ウォリアー:クラスレーダー
アマルガムクエストウォリアー

プリースト

 プリーストは最も「死んだクラス」に近いクラスだが、それほど死んでいるわけではない。ビッグプリーストエストプリーストはひどい有様だが(我々はリストを調整したが、正直絶望的だ)、ラクルプリーストは高レベル帯で競争力を発揮しているようだ。

 アイアンディープのトログのナーフにもかかわらず、ドレクサーを採用したラリー型はまだマリゴス型を上回っている。後者の問題は、いちど自分の盤面を処理されたら完全に終わってしまう点で、特に《影業師スキャブス》はこのデッキにとって大きな問題。セセックのヴェールウィーヴァーで生存力を高める方が、より多く(ランダム生成によって)フィニッシャーを提供することができる。念の為言っておくと、ドレクサーはハースストーンというゲームにおいて”クソ強カード”である。

プリースト:クラスレーダー
ザイレラビッグプリースト
ザイレラクエストプリースト
ラリーミラクルプリースト

今週のメタブレイカ

 今週のストーリーは、泥棒ローグの急成長。我々は《ワイルドポーのノール》時代に突入し、長い間ネタデッキに過ぎなかったアーキタイプが、今やスタンダード最強のデッキに見えてきている。マエストラはノールとのユニークなシナジーのおかげで、メタを定義するカードになった。

 泥棒ローグは、ゲーム序盤の盤面を確保し、それをスノーボール式に増やしていくのが得意であり、そのためゲーム序盤の盤面を求める他のデッキに対して非常に強力なカウンターデッキとなる。《段取り》は、このデッキの最大の焦点である「カードにマナを使わない」ことに完璧に合致しているため、このデッキを頂点に押し上げる最新の追加カードだと考えている。

 このデッキは影業師スキャブスと、邪道刺し・エドウィン/スマイトによるフィニッシュ性のおかげでレイトゲームは何とかしているが、フェアな防御型デッキに打ち勝つのは基本的に苦労することになる。このような厳しいマッチアップでは、エドウィン/スマイトのコンボをしっかり準備して、手札からのバーストで倒す。

 エドウィンをプレイしてすぐに影隠れすれば、そこから引いたカードをプレイするとハンドバフがかかることを覚えておこう。これにより、次のターンに2マナの大型エドウィンをスマイトと同時に叩きつけることができる。

 これだけ多様なクラスが存在するメタにおいて、それらに変装するデッキが最強であるというのは、ちょっと不思議な感じがするね。

泥棒ローグ

 お疲れ様でした

 午後の仕事も頑張るぞい