虚無層

exit from society

vS220(アルタラック⑥・2022/2/04)雑翻訳

 遅刻分です 今週のぶんは今からやります

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-220/

クラス・アーキタイプ使用率解説

 スタンダードフォーマットは、バランス調整によって完全に変化している。まず、ドルイドがゲーム内で最多のクラスへと上昇した。ランプドルイドはパッチ前に大いに宣伝され、ラダーを上がるほどますます人気が出てきている。獣や挑発のアグロ系ドルイドデッキは数が少なく、他の戦略もごく少々ある。

 シャーマンは、ローグのナーフによって完全に復活したようだが、私たちが予想していたほどの好成績ではない。ボルナーシャーマンとクエストシャーマンはレジェンドで最も多いデッキだが、バーンシャーマンもレジェンドトップでプレイされ始めている。ダイアモンド以下ではエレメンタルシャーマンがより一般的。

 ウォーロックもまた、モザキメイジと毒ローグのナーフによって大きく後押しを受けた。ハンドロックは環境で最も多いデッキの1つに上り詰めた。面白い環境変化としては、ミスリルロッドのナーフによって完全に消滅していたファティーウォーロックとフクロウウォーロックが、高レベル帯で忍び寄ってきていること。フクロウウォーロックはロッドを使い続けており、以前とほぼ同じ構築をしているが、ファティーグウォロは新しい方向で実験を始めている。

 ローグはトップレジェ未満のラダーではどのデッキもほぼ見えないほど減少してしまったが、トップレジェンドではこのクラスへの関心が高く、毒ローグはある程度の使用率を維持しているようだ。また、マエストラビルドからの変化も試みられている。泥棒とクエストローグはあまり変化が見られない。

 フェイスハンターはラダー全体で高い使用率を誇っているが、そのピークはトップレジェンドであり、ハンドロックへの回答として活用されているようだ。他のハンターデッキはあまり見られない。

 プリーストが帰ってきた。クエストプリーストという、パッチ前すでに過大プレイされていた(そして高レベルになると消えてしまう)デッキを乗り越え、シャドウプリーストとミラクルプリーストの両方が目覚めている。シャドウプリーストは《ワイルドポーのノール》が減った環境を楽しんでおり、ミラクルプリーストは《影業師スキャブス》のナーフに大きな恩恵を受けている。この2つの戦略は共に、復活した戦略として関心を集めている。ミラクルプリーストはほとんどがマリゴス型を採用している。

 山火事メイジの人気は、そのプレイスタイルとデザインがプレイヤーの心に響いていることを示している。レジェンド外の環境では最も多いデッキ。山火事デッキはレジェンド上位では著しく減少するため、いきなり最強デッキの1つになったわけではないが、おそらく以前よりはずっと良くなっているのだろう。上位ではモザキメイジが4マナの循環でもまだしぶとく生き残っているが、以前よりはかなり少なくなった。

 デーモンハンターはラダーで十分に使われておらず、トップレジェンド未満ではどのデッキもあまり使われていない。しかし、トップレジェンドではフェルデモハンと生命奪取デモハンの両方が使われ始めている。生命奪取デモハンが復活を果たそうとしているのだ。

 クエスウォリアーは、クエスト第2フェーズへのナーフを考れば予想通り、減少している。低ランクではまだ数が多いが、ダイヤモンド上位で減少し始め、レジェンドではほとんどプレイされなくなった。レジェンドでは、コントロールウォリアーが様々なアプローチで関心を集めている。

 パラディンにはあまり動きがない。聖典パラディンは引き続きラダー登りで人気のデッキだが、レジェンドでは大幅に減少している。

パワーランキング解説

マッチアップ分布

パワーランキング

 現在のメタは(いずれかのデッキが構築改良によって最強になったりするまでは)すべてのクラスで多様な選択肢と有効な戦略があり、非常にバランスのとれたものになると思われる。一部の「ソリティア」デッキが復活する可能性は少し懸念しているが、それらが過度に普及しなければ、現在のメタは前回よりも多様性に寛容なものになるはずだ。

  • ドルイド
    • ランプドルイドは弱すぎるわけではないものの、特に優れているわけでもなく、その性能に比べれば過大プレイされているのは間違いないだろう。カウンターするのが非常に簡単であり、一方で強いマッチアップの相手は環境にあまり多くない。ただ、ランプドルイドに弱いデッキの中には非常に有望でありプレイ数が増えるであろうデッキもあるので、この状況は変わるかもしれない。が、プレイヤーはランプドルイドに負けるようなデッキをプレイすることに消極的かもしれない。現在のプレイ率を維持するなら、ランプドルイドの勝率は50%前後になるだろう。
    • 一方、ドルイド挑発ドルイドは、どちらも非常に強いデッキ。この2つは特に万能なマッチアップ分布を持っているわけではないのだが、主にランプドルイドの膨れ上がった使用率を利用することで高い勝率を実現している。両デッキともランプドルイドを圧倒しており、それがAOEや遅延効果に対する全般的な弱みを補っている。挑発ドルイドのほうが盤面を取るのが早いのでアグロデッキに有利であり、獣ドルイドは中盤から後半にかけてより優れている。
    • ピエロドルイドはあまりプレイされていないが、ランプドルイドよりも成績は良く、少数のサンプルからもTier2には収まるであろうことが示唆されている。
  • シャーマン
    • エストシャーマンはラダーのほぼ全体で非常に強い。ボードコントロールの王者であり、盤面を取りたいデッキは必ず、これに対して苦労する。ハンドロックだけが例外で、それはクエストシャーマンでさえ対処できないほど巨大なスイングターンを持っているため。このデッキを倒す他の方法は盤面外ダメージであり、そのためクエストシャーマンは、ハンドロックと盤面外デッキの増えるトップレジェンドではTier 2に分類される。
    • ボルナーシャーマンもそこそこ戦えるシャーマンデッキだが、ランプドルイドに対してはクエストよりも厳しく、ハンドロックに対してはこれからどんどん悪くなっていくと予想される。
    • バーンシャーマンのプレイ率上昇には確かな理由がある。これはウォーロックに対するスロール流の回答であり、その代わりランプドルイドに対するマッチアップが悪くなるという代償を払っている。しかし、クエストやボルナーとは異なり、バーンシャーマンには大きな改善の余地があると見ている。まだ最終形には至っておらず、よりクリーンになることを期待している。あとは環境の変化次第。
    • エレメンタルシャーマンはかなり良いデッキで、特にドゥームハンマーは高レベルの一部のデッキを罰するのが得意。このアーキタイプは古いのであまりプレイされないが、仕事はできる。
  • ウォーロック
    • ハンドロックは間違いなくスタンダードで最強のデッキだが、とびぬけたトップというわけではない。ハンドロックのカウンターデッキの多くはトップレジェンドで増加するため、そこでの勝率は相対的に低くなっている。しかし、モザキメイジ・毒ローグのコンビやフェイスハンター以外にも、ハンドロックに効果的にカウンターできるような戦略が生まれている(バーンシャーマン、フェルデモハン、コントロールウォリアーのうちのとあるビルドなど)。ランプドルイドの高い使用率が、こうしたカウンターからハンドロックを守っている。
    • フクロウウォーロックはちゃんと復活した。我々はこのデッキが、ちゃんと競争力のあるTier2に位置すると見積もっている。そのマッチアップ分布はハンドロックよりも偏っているので、ラダー登りデッキとしての安定性と一貫性はハンドロックほどはない。
    • ファティーグウォロはフクロウウォロよりも悪いように見えるが、ある程度構築が改良されれば、我々の試算では50%の壁を越えられるかもしれない。このクラスの3つのデッキの中で最も偏ったデッキであるため、それほど一般的になることはないと思われる。
  • ローグ
    • ナーフ後のローグの状況はあまり良くはないようだ。泥棒ローグは死亡し、埋葬された。エストローグは確かに十分な実力を持っているが、やや停滞気味かもしれない。毒ローグはトップレジェンドのニッチ枠という地位に戻り、他のラダー帯では崩壊している。ただ、ローグデッキの中で唯一、ナーフに適応する明確な方法があるようだ。ローグは今後も競技シーンで重要な存在であり続けるだろう。
  • ハンター
    • フェイスハンターは明らかに優秀なのだが、意外にも、このデッキが最も多いランク帯ではパフォーマンスが悪くなる。説明は簡単だ。ここはメタの進化が最も進んでいる場所でもあり、バランス調整後に増加したいくつかのデッキがフェイスハンターに深刻な問題を突きつけている。フェルデモハン、コントロールウォリアー、シャドウプリーストは、今後の障害になりそうだ。このデッキはハンドロックを牽制するという重要な役割を担っているが、明確な弱点もある。
  • プリースト
    • シャドウプリーストが好調のようだ。挑発ドルイドと同様に、膨れあがったランプドルイドの使用率とフェイスハンターの多さから大きな恩恵を受けている。除去、足止め、ライフゲインが満載の相手は未だに苦手だが、この2デッキが助けになっている。
    • マリゴスが来た。ラクルプリーストはいつものように高いスキル上限を示し、トップレジェンドでのピーク時の性能も決して悪くはない。仕事はできる。Jambreには十分である。
  • メイジ
    • 山火事メイジはネタではない。ラダーの大部分で使えるデッキであり、かなり人気もある。ただ、スキル上限が低いことに悩んでいるようだ。トップレジェンドではメタがより敵対的になるのもあって、プレイ率と勝率が急降下しており、その競技的有用性には疑問が残る。しかし、このデッキは、合理的で無難なゲームプランをもち、あまりアンチを呼んでこないようなので、総合的には良いデッキと言えるだろう。クエストウォリアーに代わる新たなトイレ休憩デッキの誕生か。
    • もしあなたが、我々が前回のレポートで、Tier3のモザキメイジを先制ナーフすることを要求したことに困惑していたなら、今その答えがわかるだろう。このナーフによって、このデッキにとってより有利なフィールドが生まれることは確実に予想できており、《詠唱者の循環》のナーフがなければ、確実にTier1に昇格していたことだろう。現在、モザキメイジはトップレジェンドでTier2に甘んじているが、ウォーロックとシャーマンを超効率で捕食している。
  • デーモンハンター
    • フェルデモハンは眠れる獅子かもしれない。そのプレイ率の低さの理由は、ほぼ絶望的な対ランプドルイドとの対戦をプレイヤーが嫌がるからだと思われる。ランプドルイドの多さにもかかわらずこの素晴らしい結果が出ていることから、他のマッチアップでいかに破格の支配力を発揮しているかがわかる。フェルデモハンはアグロデッキを消し去り、シャーマンやウォーロックに対してもかなり良い結果を残している。ラダーで大流行するにはカウンターするのが簡単すぎるが、トーナメントでは強く検討されるべきだろう。
    • 断末魔デモハンはローグへのナーフ後に安定したパフォーマンスを発揮し、生命奪取デモハンは現在、高レベルで成功の兆しを見せ、再びカムバックを試みている。ただ、使用率が上がるとどうなるかは分からない。
  • ウォリアー
    • 拡散しよう。コントロールウォリアーが帰ってきたのだ! このアーキタイプは非常に厄介だが、ある特定のバリアントがこのフォーマットで大きな可能性を見せており、このクラスタアーキタイプを支配すれば、勝率が劇的に向上するのではないかと思われる。コントロールウォリアーが非常に競争力のある勝率に少しずつ近づいているのが、トップレジェンドで見られ始めている。改善の上限も高い。詳細はクラス欄で。
    • エストウォリアーの低ランク帯の恐怖の支配は終わり、プラチナ以上であまり良いデッキではなくなる。もはやトップデッキでなくても、クエストウォリアーを倒すことが出来る。
  • パラディン
    • 聖典パラディンは、レジェンド以外では引き続き非常に良い成績を残すと予想されるが、高レベルではシャーマンの存在によって成功が制限されるかもしれない。フェルデモハン、バーンシャーマン、コントロールウォリアーが増加してくれればパラディンも楽になるかもしれないが、メタが改良されてパラディンが良くなった記憶がない。スタンダードで最も停滞しているクラスであることは間違いない。

クラス別分析

ドルイド

 ランプドルイドはスタンダードで最も多いデッキの1つだが、その結果は使用率に見合ったものではなく、マッチアップ分布もあまり感動的ではない。完璧なドローをすれば対戦相手を吹き飛ばすことができるため、パワーレベルが高く感じられるが、一定以上のパフォーマンスを発揮するためには《野生の心のガフ》と《過剰繁殖》を引くことに非常に依存している。比較的新しいデッキでプレイスタイルも満足のいくものなので、性能はともかく人気は維持し続けられるだろう。つまるところ、ひどいデッキではないのだから。

 構築は固まってきている。いくつかのカードが実験的に使われている。《連爆の魔術師》はアグロを凌ぐための必殺技として活用され、《ウィングコマンダー・マルベリック》はよりトログへの対応に特化しつつ同様の役割を果たす。ミュターヌスはより遅いマッチアップに向く。デッキリストは固く、自由枠はどのカードであってもさしたる変化はない。重要なのは、マリガンでランプカードを見つけられることだ。それ以外は重要ではない。

 ドルイドはようやく初期ビルドを超える進化を遂げて、また《ワイルドポーのノール》へのナーフでよりアグロ寄りのメタに変化したことも大きくプラスになった。土木作業員よりもリス、カザカスよりもマルベリックが適切な調整と言えるだろう。我々は《つぎはぎの大工》にも感心している。《命の種》や《コールドトゥース鉱山の確保》に比べて、格段に優れたドローエンジンのようだ。掲載の構築は、Boc4Lifeのデッキの改良にインスパイアされている。

 挑発ドルイドも良い成績が出ているが、これは獣ドルイドと同様、ランプドルイドのプレイ率の上昇にかなりの恩恵を受けている。このデッキはAOEを振り回す戦略にかなり弱いが、ドルイドやフェイスハンターのようなアグロ相手が増えた結果、この好成績になっているのだろう。

 もしあなたがまだランプ系のドルイドに興味がありつつも、ランプドルイドより良い成績が欲しいなら、ピエロドルイドが優れた選択肢かもしれない。そのプレイ率が低い原因は、おそらく目新しさがないことだろう。

ドルイド:クラスレーダー
双神ランプドルイド
つぎはぎ大工ビーストドルイド
ドレクサー挑発ドルイド
守護獣ピエロドルイド

シャーマン

 バランス調整はシャーマンに良い影響を与えた。様々な良い選択肢が用意されており、人気のあるシャーマンのデッキはどれも良い結果を出している。

 いちばん印象的なのはエストシャーマン。そのマッチアップ分布は驚異的で、稀に苦労する相手は盤面外の”ソリティア”戦略と、高レベル帯で増加するハンドロック。盤面デッキがクエストシャーマンを倒すのは非常に難しく、《飛び火》を耐えられる大型だけが問題。掲載のビルドは”完璧な30枚”であり、バランス調整後にさらに固くなった。成功したいなら《水路の逆流者》を抜いてはいけない、これはどのラダー帯でもそうだ。

 ボルナーシャーマンは興味深いことに、シャーマンデッキの中では最弱かもしれない。現在の環境では《連爆の魔術師》を採用することを強く推奨しており、何なら2枚採用でもいいかもしれない。対アグロのマッチアップで、究極の逆転手段になる。WiRerが考案した《大物ハンター》も興味深い選択。ドルイドウォーロック、そして《降雪の守護者》を採用している他のシャーマンに強い。ハンドロックが《ショーストッパー》を採用し始めたので、《肉の巨人》は凍らせるよりも殺す方が良い選択肢になるかもしれないし、《大物ハンター》は必要に応じて《スバラシインコ》と連携できる。

 バーンシャーマンが復活し、スロールが通常苦手とするハンドロックに対するこのクラスの最高の回答となっている。現在のアグロ環境に対しては、”稲妻使い/土砂崩れ”の使用を強く推奨したいが、”ワイルドポーの洞窟”と”ブルカン”は依然としてこのデッキの最優秀カードである。BruToが、我々が考えた掲載リストと偶然全く同じ構築でレジェンド1位を打ち立てた。意外なことに、《寒風》は採用されていない(洞窟の方が優れており、《始原のダンジョニア》は残しておきたい)。

 エレメンタルシャーマンは、現在のメタではかなり優秀。ワイルドポーのノールの減少は、このアーキタイプに大きな恩恵をもたらした。ドゥーム型はレジェンドトップで優秀。凍結型はレジェンド外ではより強い。

シャーマン:クラスレーダー
マルチキャスター・クエストシャーマン
ボルナー・変妖シャーマン
マルチキャスター・バーンシャーマン
凍結・エレメンタルシャーマン
ドゥーム・エレメンタルシャーマン

ウォーロック

 ハンドロックは、モザキメイジと毒ローグの両方がナーフされるパッチ後には、より良い結果を出すだろうと予想していた。 これらの敵デッキはまだ競技環境に存在しているが、環境全体としては以前よりもずっとこのクラスにとって有利になっていることは確か。以前は時代遅れと思われていたウォーロックのデッキがカムバックを試みているほど、状況は良くなっている。

 ハンドロックは現在のスタンダードの中でも最も柔軟なデッキのひとつだが、我々が非常に感銘を受けたテックカードの1つが《ショーストッパー》。対シャーマンのマッチアップではゲームチェンジャーになるし、他のマッチアップでも足手まといにはならない。時には、アイヴァスを倒す唯一の方法となることもある。

 最後の2枚の枠は厳しい競争だが、私たちは一般的に《生の苦悩》を最良の選択と考え、2つ使用することを推奨している。生の苦悩は一見インパクトが弱いため過小評価されているようだが、対アグロマッチアップでは信じられないほど強く、遅いマッチアップでもクズ拾い/ブリストルバックのパワーを引き上げてくれる。無視できない。

 教団の新入会員は今回のパッチで弱くなった。ランプドルイドに対しては思ったほど強くなく、ハンドロックのカウンターの中でももっと数の少ないデッキ(モザキ/毒/フェル)に対しては強い。

 《不安定なシャドウブラスト》はミラーではかなり優秀なカード。クエストの完了を早めることができ、ゲーム終盤の大型ミニオンをより効率的に処理したり、序盤のバフされたミニオンに回答することができるようになる。

 《炎の祭壇》はよりニッチな役割をもつ。クズ拾い/ブリストルバックの加速装置としては生の苦悩よりも強力だが、ミラーでは恐ろしいほど弱く、アグロデッキに対しても生の苦悩のほうが強い。祭壇の妨害能力が効果的な相手は少ない。

 ファティーウォーロックは復活しつつあるように見えるが、このアーキタイプは非常に厄介で、最適なデッキリストを把握するのは困難だった。我々が見つけた最も有望な方向性はマルチキャスター型であり、これは意外かもしれない。ミスリルロッドがないため、このデッキの最も困難な点は手札管理。手札を溜め込まず、カードをたくさん使ってマルチキャスターのドローにつなげ、ファティーグに到達するという究極のゲームプランをさらに進める。それさえできれば、タムシンがプレイされた後、対戦相手はあっという間に死んでしまうだろう。

 フクロウウォーロックはより大きな可能性を見せている。ビルドはナーフ前と非常によく似ているが、コンボパーツを余分に入れておいたほうがいいかもしれない。フクロウ2枚と《罪深き積荷》2枚はやりすぎに見えるかもしれないが、ファティーウォーロックとは異なり、このデッキは対戦相手を殺すためにファティーグに到達しなくてもよい。より早くピースを見つけ、より早く勝ち筋を実行することで、より多く勝てるだろう。ミュターヌスの耐性がつくのも嬉しい。

ウォーロック:クラスレーダー
ショーストッパー・ハンドロック
マルチキャスター・ファティーグウォーロック
フクロウウォーロック

ローグ

 ローグは先月のスタンダードを破壊した罪の代償を払っている。今回のナーフはちゃんと厳しくデッキを罰したようだ。

 泥棒ローグは去ったようだ。序盤を支配すると同時に極めて強力なレイトゲームを持つデッキだったが、今ではどちらのこともうまくできない。ワイルドポーのノールはもはや強力ではなく、影業師スキャブスは8マナでは驚くほど物足りなくなった。

 毒ローグは、(アグロデッキがそれほど多くなく、ウォーロックやシャーマンを罰することができる)トップレジェンド限定で成功するデッキという元のニッチな存在に戻った。最高のデッキリストはマエストラパッケージを捨て、《凶悪なる一撃》の採用に戻っている。

 エストローグは、現在では最も安定したローグデッキかもしれない。まあまあだが、特別なものはなく、スキャブスのナーフの影響が強い。より良いデッキを見つけるのは難しい。

ローグ:クラスレーダー
十面相の泥棒ローグ
今はもう一面相の毒ローグ
クエストローグ

ハンター

 フェイスハンターは期待通りの強さで、ハンドロックに対する素晴らしい回答となるが、高レベル帯ではシャドウプリーストやフェルデモハン、さらにはコントロールウォリアーといったデッキの増加によってカウンターされやすくなる。

 最良のビルドはパッチ前のものと変わらない。タヴィッシュはパッチ前ほど強くはないが、それでも十分採用できる。

 他のハンターデッキはラダーが上がるにつれて減少していく傾向にあるが、望みがないわけではない。ビッグ獣ハンターエストハンターはもっと注目されてもいいはずだが、フェイスハンターの影に隠れてしまっている。

ハンター:クラスレーダー
タヴィッシュ・フェイスハンター
ヴァンダル・ビッグ獣ハンター
秘策クエストハンター

プリースト

 シャドウプリーストがスタンダードに帰還し、ランプドルイドとフェイスハンターに対して強いおかげでなかなか良好だが、まだ防御系デッキに対して弱く、イルシアがいた頃の栄光の日々とは比べものにならない。《ナジャク・ヘクセン》と《セリーナ・ブラッドフェザー》はこのデッキにおいてかなり強力なカードであることがわかった(セリーナのほうが比較的重要性が低い)。以前と同様に、シャドウプリーストは《虚無に触れし従者》によって序盤のリードから”スノーボール”していくことが重要。バーン系のカードはあまり効率的ではないが、ミスター・スマイトも含め、使えるものは何でも使うべきだろう。

 ラクルプリーストはスキャブスのナーフが非常にありがたい。マリゴス型がこのアーキタイプを支配しているが、我々はまだ、チャンスがあればラリー型もかなり良いものになるのではないかと考えている。《祝福》は現在の環境に対して非常に強いので、このカードを2枚運用するのは悪い考えではない。《エレクの乗騎》は最近ではちょっと遅いので、抜いても構わない。

 エストプリーストはほぼ使えない。クサリヘビを抜いて構築の隙間を埋めるのは良いことだが、ハンドロックやクエストシャーマンに少しでも遭遇するのなら、このデッキで成功できるとは思わないことだ。これらのマッチアップは残酷。ランプドルイドに当たり続ければ楽しい時間を過ごすことができる。

プリースト:クラスレーダー
アグロ・シャドウプリースト
マリゴス・ミラクルプリースト
ザイレラ・クエストプリースト
ザイレラ・ビッグプリースト

メイジ

 モザキメイジは高レベルでもまだ非常に競争力があり、もし《詠唱者の循環》が放置されていたら完全に壊れていただろう。ありがたいことに、このデッキは先制対処されたため、プレイヤーは死の危機を逃れたのだった。デッキリストはほとんど変わらず、4マナの《詠唱者の循環》は依然としてマリガンにおける最大の優先カード。これがかつて2マナであったとは信じがたい。

 山火事メイジはかなりプレイアブルになったようだ。マルチキャスター型とビッグスペル型はどちらもそこそこの結果を残している。ルーンのある(ビッグスペル)型のほうが、より遅いマッチアップに適している。

メイジ:クラスレーダー
マルチキャスターモザキメイジ
ルーン山火事メイジ
マルチキャスター山火事メイジ

デーモンハンター

 フェルデモハンは現在のメタでは、強力だが偏ったデッキ。フェイスハンターやシャドウプリーストのようなアグロデッキに対しては非常に効果的だが、シャーマンやハンドロックに対してもそこそこ有利な位置にいるため、あとはランプドルイドのプレイが少なくなればもっと強くなるだろう。

 シャーマンとウォーロックに対して強いと言えば、マグゼリドンは両クラスに対して素晴らしいカードなので、今ではクサリヘビを抜いてコア枠に入っている。ドルイドとの対戦では、《涜れし将校》が一枚でマグゼリドンを使い損にしてくるため、このカードには注意が必要。

 生命奪取デモハンは、少なくともラダーの上位では、このフォーマットに戻ってくる兆しを見せている。断末魔デモハンは十分まともで、ワイルドポーのノールのナーフに多大な恩恵を受けているが、プレイヤーは興味を示していない。

デーモンハンター:クラスレーダー
マグゼリ・フェルデモハン
ウルズール断末魔デモハン
クエスト生命奪取デモハン

ウォリアー

 コントロールウォリアーのひどく弱いデッキリストの群れの中から、我々はついに真に競争力のあるデッキの可能性を見出した。鍵となるのは《ガルヴァンガー隊長》、《無貌の操り手》、《バトルグラウンドのバトルマスター》、《前線に出るぞ!》のコンボという、本物の勝ち筋を追加したことだ。これだけ高価なカードを大量に採用しておいて、拡張前に我々がセオリークラフトしたフィニッシャーが一番強いなどというのは容易に信じがたいかもしれないが、本当なのである。ロカラへのバフも効いていて、パッチ後に非常に良いパフォーマンスを見せている。

 バトルマスターと無貌はラトルゴアとも相性が良く、ラトルゴアはガルヴァンガーに代わる勝ち筋を提供してくれるし、斧刀講はデッキにドローの一貫性を与えてくれる。

 さらに、ロード・バロフよりもヴァンダル・ストームパイクの方が入れる価値があるのではないかと考えている。そのあたりは、もっと多くのデータを見て比較したい。このデッキはフィニッシュパーツによって生死が分かれるものであり、これらのパーツの早期起動を助けるものは何でも試してみる価値がある。今回紹介する構築は非常に予測的なものだが、現在のメタで少なくともTier2(!)になる可能性がある。

 エストウォリアーはかなり終わっている。このデッキはまだブロンズで多くの試合に勝っているが、特に優れたラダー登りおよびトイレ休憩に適したデッキとしての性能はもはやなくなったと言える。

ウォリアー:クラスレーダー
ガルヴァンダール・コントロールウォリアー
トイレクエストウォリアー

パラディン

 パラディンはかなり停滞しているようで、バランス調整後に全く変化していない唯一のクラスかもしれず、このレポートでも手を付けられるところがほとんどない。

 聖典パラディンは、ラダー中(レジェンド外)では好調だが、レジェンドになると壁にぶつかり、大幅にパワーダウンするといういつもの挙動を見せる。他のデッキと言ってもバフパラディンが少数存在するだけで、このデッキは聖典パラディンよりもさらに弱い。

パラディン:クラスレーダー
スマイト聖典パラディン
ヴァリアン・バフパラディン

今週のメタブレイカ

 環境序盤の兆候としては、健全なフォーマットになりそうだ。様々な戦略が競争力を発揮しているし、すべてのクラスが参加しています。このままであることを祈ろう。多くの発見が伝播している最中だが、このレポートがそれらを加速させ、多くのデッキの性能と多くのマッチアップのダイナミクスを揺るがす助けになることを願う。

 この雲の中でも、ラダー全体で成功できそうな安定したパフォーマーがおり、それがハンドロックだ。柔軟性と汎用性の高さは多様で予測不可能なフィールドにおける鍵であり、それが今週のトップ・チョイスである理由だが、トップと他の差は非常に近い。

 メタは開かれたようだ。

ハンドウォーロック

 お疲れ様でした