虚無層

exit from society

vS221(アルタラック⑦・2022/2/11)雑翻訳

 ここ最近遅刻してばかりなのにこんなことを言うのは申し訳ないのですが、エルデンリングが出たらしばらく音信不通になるかもしれません

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-221/

クラス・アーキタイプ使用率解説

 ランプドルイド列車は止まらない。このデッキが得意とするマッチアップがいくつか増加し、より有利な環境になると予想できるので、先週からプレイ数は増加する一方だ。さらに、ランプドルイドをより極端にしたバージョンである星界配列ドルイドが、トップレジェンドの遅い環境を攻略するために復活している。挑発ドルイドはほとんどのランク帯でプレイ数を伸ばしているが、ドルイドはなぜか減少している。

 ラダーを登るにつれて、シャーマンのデッキ比率が劇的に変化していく。プレイヤーはボルナーシャーマンから離れ、バーンシャーマンを使うようになっていく。バーンシャーマンはトップレジェンドで最も人気のあるシャーマンデッキとなり、その最良のビルドも解明しつつある。エストシャーマンエレメンタルシャーマンの数は不動。

 ハンドロックの使用率も非常に安定している。フクロウウォーロックファティーウォーロックよりも優れた結果を出しており、支持されている。

 プリーストは競技界に復活した。シャドウプリーストラクルプリーストの両方がトップレジェンドでかなりのプレイ率を示している。

 フェイスハンターは大幅に減少し、特にトップレジェンドではその数が50%近くも低下した。プレイヤーはこのデッキに対するいくつかの強力なカウンターの増加に落胆しているようで、このデッキが弱くなったという予想がされている。興味深いことに、今週はエストハンターが少し増えている。

 山火事メイジはラダーの低ランクでは減少しているが、上位レジェンドではプレイ数が増加している。これはコントロールウォリアーの存在によるものかもしれない。一方、モザキメイジは少し減少している。

 デーモンハンターがより関心を集めている。フェルデモハン断末魔デモハンがラダー帯にいる主なデッキで、トップでは生命奪取デモハンが断末魔デモハンと入れ替わりで増加する。

 ローグは爆速でTierの底に進撃している。泥棒ローグは消えつつある。エストローグは停滞中。毒ローグでさえ、先週よりも減少している。

 聖典パラディンにおいて《アイアンディープのトログ》のプレイ数が増え、パラディンへの関心が高まっている。また、以前は絶滅していたバフパラディンも復活し、最近増加したデッキにカウンターを試みている。

 コントロールウォリアーは、トップレジェンドでプレイ率が2倍になった。このアーキタイプはガルヴァンガーの勝ち筋を受け入れ、他のビルドを手放す経過の途中にある。ガルヴァンガー構築は、さらにバロフ型とヴァンダル型に分かれている。エストウォリアーはプラチナ以下では人気があるが、他の場所ではほとんど見られない。

パワーランキング解説

マッチアップ分布

パワーランキング

 今のフォーマットをうまく説明するためには、物事をマクロ的にとらえたい。具体的なデッキの性能については各クラスのセクションで解説しているが、環境全体を同時に見ないとなかなか理解できないようなことが起こっている。

 ワイルドポーのノールが実質的にフォーマットから削除され、メタが再形成され始めた。序盤の盤面を利用するデッキは、ローグにゲームプランを大きく抑制されることなく繁栄しはじめ、ランプドルイドの人気と”誇大広告”が、アグロデッキの台頭をさらに促した。

 アグロデッキをカウンターするため、強力な生存系ツールを搭載したデッキが増え始めた。クエストシャーマンはその代表格だったが、コントロールウォリアーは適切な勝ち筋を見つけてから突然競争力を持ち始め、フェルデーモンハンターはTier1に近づきつつある。さらに、フクロウウォーロックのような強力な防御パッケージを備えたデッキが評価されている。アグロデッキをカウンターすることは、成功すべきアプローチとなった。

 強力な防御シェルに回答するには2つの方法がある。1つ目は、自身の防御能力を犠牲に、非常に高いリーサル能力と回避不可能性を持つ戦略を使うこと。モザキメイジや毒ローグなどのデッキが良い例だが、星界配列ドルイドの増加、そしてトップレジェンドでの推定Tier2の勝率は、”究極欲張りレース”の次なるステップであると言えるだろう。これらのデッキはめちゃくちゃ多いわけではないが、そのマッチアップ分布はしばしば極端なもので、たとえ低頻度であっても、”アンチアグロ戦略”の成績を劇的に低下させる原因となる。これは、コントロールウォリアー、フェルデモハン、そしてより万能寄りのデッキであるハンドロックとクエストシャーマンの成績低下が証明している。

 しかし防御系のデッキに対抗する方法はもう一つあり、それは展開の全てに相手が対処しきれないほど脅威密度を上げるということで、これはリーサル重視のデッキに圧力をかけることもできるため、これによってバフパラディンが、序盤の強力な多くのデッキに屈することになりつつもTier1の勝率を見せることになった。

 結局のところ、プレイヤーは欲張りなデッキをプレイするのが好きなのであり、トップレベルのプレイヤーはそういったデッキが少しでも良い兆しを見せるとすぐに採用してしまう傾向がある。その結果、スノーボール系のデッキはその使用率に比べて高い成績が出ることになる。フェイスハンターはプレイ数は減少しているが、実は問題ない。シャドウプリーストは非常に強い。獣ドルイドと挑発ドルイドはひどく過小評価されている。これらのデッキはどれも、防御系で健全な多くのデッキに負けるため、万全のマッチアップ分布を持っているとは言えないが、欲張りなデッキを罰することは現在大いに価値があることだし、現在のメタにおいて、弱点のないデッキはない。

 そしてここで最後のポイント。現在のメタは循環的で、バランスが取れている。今日良いものが明日も良いとは限らない。メタが偏向していると指摘する人もいるかもしれないが、お望みならば、バランスの取れたマッチアップ分布を持つ優秀なデッキがたくさんある。二極化の激しいデッキは低い使用率を示すため、他のデッキの成績に高い影響を及ぼすにもかかわらず、あまり目立たない。これは特にラダーの下位ランクで顕著で、欲張りなデッキをまだ見かけるのだが、ただし見かけるのはクエストプリーストのようなあまり良くないデッキである。

 だから、メタは奇妙にも寛容である。実際、現在のスタンダードは『荒ぶる大地の強者たち』以来、最も平均ゲーム時間が長くなっている。どのような戦略でもうまくいく。メタが”多様すぎる”ので、何をカウンターすればいいのかわからないという苦情も見受けられるほどである。それは、すぐにでも登場するであろう、ミニセットへの確かな基盤だ。次はどうなることか。

クラス別分析

ドルイド

 ランプドルイドは、たまたま相性の良いいくつかのデッキの増加が予想されたため、先週から調子を上げている。レジェンドへの登りではまだ十分に強くないが、メタがますます欲張りになっているレジェンド帯では十分なパフォーマンスを発揮する。

 星界配列ドルイドが復活を遂げている。成功するには特定の相手に当たり続けなければならないという非常に偏ったデッキだが、またそれらの有利マッチアップは十分に数が多いようなので、検討する価値はあるだろう。我々は《発芽》を高く評価しており、2枚運用することは《ゴールドシャイアのノール》よりも正しい選択だ。マルベリックは悪くないが、使いみちが少しニッチ。もしあなたが常にトログデッキに遭遇していて、マルベリックに価値を見出すようならば、おそらくまずデッキを変えた方がいいだろう。

 ドルイドは、現在のスタンダードで最高のデッキかもしれない。アグロ相手にそれなりに良いマッチアップを保ちつつ、遅いドルイドデッキを罰することもできる。先週決定したリストは見事なものだった。パーフェクトな30枚だ。

 挑発ドルイドは獣ドルイドと似たような立ち位置。そのマッチアップ分布は若干異なるが、アグロマッチアップを得意としつつランプドルイドを罰するという点では同じ。AOEを多用するデッキは、まだドルイドの高速デッキを抑えこむほど一般的ではない。

ドルイド:クラスレーダー
双神ランプドルイド
発芽星界配列ドルイド
つぎはぎ大工ビーストドルイド
ドレクサー挑発ドルイド
守護獣ピエロドルイド

シャーマン

 メタはエストシャーマンボルナーシャーマンに少し敵対的になってきている。クエストシャーマンの盤面支配力高さは依然としてスタンダードにおける非常に重要な役割を持っているが、ボルナーシャーマンの勝ち筋の遅さは、バーンシャーマンの速いバーストプランに負けつつあるのかもしれない。

 バーンシャーマンはかなり良さそうで、先週紹介したリストにはとても感心した。パラディンの数が増えているなら、《ノート取り》を《クサリヘビ》と入れ替えてもいいだろう(《ノート取り》はいずれにせよ、それほど素晴らしいものではない)。《ワイルドポーの洞窟》はこのデッキの最も難しいマッチアップのいくつかで大きな助けとなり、外せないと考えている。

シャーマン:クラスレーダー
マルチキャスター・クエストシャーマン
ボルナー・変妖シャーマン
マルチキャスター・バーンシャーマン
凍結・エレメンタルシャーマン
ドゥーム・エレメンタルシャーマン

ウォーロック

 ハンドロックは周囲の視線を感じ始めている。レジェンドまでの登りでは依然として非常に強力である一方、レジェンドトップのメタはますます敵対的になってきている。このデッキの柔軟性はいいものだが、環境が提示するすべての問題に対して黄金の回答があるわけでもない。我々は《生の苦悩》を支持し続けており、今週のデータによって、最後の2枚の枠を埋める最高のカードであるという私たちの立場はより強固なものになった。《ショーストッパー》は、ますます人気の高まっているバーンシャーマンのマッチアップで非常に強力。

 フクロウウォーロックは競争力があるが、ハンドロックほど優等生ではない。メタがより遅く、より欲張りになるにつれ、サルノスが良くなってきている。一般的に、《サルノス》、《スパイスブレッド職人》、2枚めの《悪の大輪》のいずれかが省かれることになるだろう。フクロウ2枚と《罪深き積荷》2枚はこれで良い。《ヒステリー》についてはコメントできるほど見ていないのだが、悪の大輪の代わりのカードとして登場し始めたところ。

 ファティーウォーロックは、この環境ではあまり成功しそうにない。非常に偏ったデッキで、現在のメタには罰せられている。フクロウウォーロックをあえて使わずにコレを使う理由はない。

ウォーロック:クラスレーダー
ショーストッパー・ハンドロック
フクロウウォーロック
マルチキャスター・ファティーグウォーロック

プリースト

 プリーストは現在のメタで非常に良い位置にいるようで、ここ数ヶ月で最も強くなっている。

 シャドウプリーストは、遅いドルイドデッキや、除去手段に乏しい他の欲張りなデッキを罰するのに非常に成功している。このカードは防御的なあらゆる戦略に対して非常に脆弱だが、波瀾万丈のマッチアップ分布だが、計算上、総合的にはこちら有利になっている。

 ラクルプリーストはシャドウプリーストとはまったく異なるデッキだが、シャドウプリーストと同じように、その”爆発的ターン”に対応するための除去を持たない相手が多いことの恩恵を受けている。先週の繰り返しになるが、《祝福》は現在のメタにおいて2枚採用にふさわしい。ラリー型の構築が徐々に増え始め、マリゴス型と同程度、あるいはそれよりもわずかに優れているようだ。

プリースト:クラスレーダー
アグロ・シャドウプリースト
マリゴス・ミラクルプリースト
ラリー・ミラクルプリースト
ザイレラ・クエストプリースト
ザイレラ・ビッグプリースト

ハンター

 フェイスハンターは好調を維持しているが、シャドウプリーストとどちらが優れたフェイスデッキであるかの激しい競争にさらされている。フェイスハンターはいくつかの重要なマッチアップ(ハンドロックや獣ドルイドなど)においてシャドウプリーストよりも優れているので、競合相手の単純な下位互換になる危険はないだろう。

 エストハンターはプレイがやや増えつつあり、それほど悪くはなさそう。まだ構築が洗練されていないので、現在の性能は特に優れたものではない。マルチキャスターを採用するプレイヤーが増え始め、このカードはメイジやシャーマンの時ほど強力で安定したものではないが、それでもハンターのガス欠を防いでくれる。これは重要なことで、この構築ならTier2に到達できる可能性がある。

ハンター:クラスレーダー
タヴィッシュ・フェイスハンター
マルチキャスター・クエストハンター
ヴァンダル・ビッグ獣ハンター

メイジ

 メイジの一週間は、何事もなく過ぎ去った。モザキメイジに対する敵対心が高まり、その結果成績が低下しているが、高レベルではまだ競争力を保っている。ウォーロックやシャーマンと多く対戦することが、成功のカギとなる。

 山火事メイジはランプドルイドがこれほど普及していなければ、もっと良くなっていただろう。強いデッキとまでは言えないが、パッチのバフは確かにこのデッキを競争力のある地位に引き上げた。

メイジ:クラスレーダー
マルチキャスターモザキメイジ
ルーン山火事メイジ
マルチキャスター山火事メイジ

デーモンハンター

 フェルデモハンは、先週登場したいくつかの戦略によって無慈悲にカウンターされている。星界配列ドルイド、コントロールウォリアー、バフパラディンは、まだ低い使用率であるにもかかわらずデーモンハンターの成績を叩き落とすほど不利なマッチアップを提示している。生命奪取デモハンも同様の問題に直面しており、メタが劇的に有利にならない限り、プレイ率が上昇する可能性は非常に低くなっている。

デーモンハンター:クラスレーダー
マグゼリ・フェルデモハン
ウルズール断末魔デモハン
クエスト生命奪取デモハン

ローグ

 ローグは平凡に落ち着いた。毒ローグはメタが有利な高レベルではまともに見えるが、メタ依存性の高いデッキで、”正しくない相手”と対峙すると転ばされてしまう。エストローグは最もバランスのいい選択肢だが、古いデッキをわざわざ使うにしてはぬるく、あまり魅力的ではない。泥棒ローグは、ワイルドポーのノールのナーフを補うためには、新カードに望みを託すしかない。

ローグ:クラスレーダー
十面相の泥棒ローグ
今はもう一面相の毒ローグ
クエストローグ

パラディン

 パラディンは、バフをかけながら脅威を展開するというシンプルなゲームプランが相手を簡単に罰することができる”欲張り”なメタになったおかげで、今週のレジェンドトップで劇的に強くなっている。

 聖典パラディンはローグのナーフ以降、アイアンディープのトログが徐々に強くなり、より積極的に序盤の盤面を取り、スノーボールしていくルートが結果を出している。一方、パラディン側が先に動くことが大きく奨励されているフォーマットでは、防御的なロード・バロフは価値を失っている。

 バフパラディンは、ラダーのあらゆるランク帯で、驚くほど強い結果を残している。コントロールウォリアー、ウォーロック、ランプ/配列ドルイド、デーモンハンターらがいる環境で、このデッキは突如として優秀なポジションを獲得することになった。プレイ難易度が比較的低く、盤面を取るのがより早いデッキや、常に脅威を凍結してくるシャーマンに弱いため、成功するには適切な対戦相手を見つけることに大きく依存する。最近の成功は、メタがいかに欲張りになったかを物語っている。

パラディン:クラスレーダー
トログ聖典パラディン
ヴァリアン・バフパラディン

ウォリアー

 コントロールウォリアーの除去キットを打ち負かすためには、相手が持続的なプレッシャーをかけ続けることが必要になるため、メタがどんどん欲張りになっていく最大の原因の1つかもしれない。ウォリアーが勝ち筋を実行できるかどうかよりも、それまで生き残れるかどうかが重要になりつつあり、生存ツールの使用を強制してくるような、プレッシャーの高い相手の増加に苦しんでいる。

 これはロードバロフVSヴァンダルの採用論議の答えを知るヒントかもしれない。このアーキタイプのデータをさらに調べた結果、バロフのほうが優れた選択肢であることが明らかになった。追加の除去はますます重要になり、ヴァンダルはレイトゲームを加速させるのには良いが、今増えているマッチでは重要ではない。

ウォリアー:クラスレーダー
ガルヴァンガー・コントロールウォリアー
トイレクエストウォリアー

今週のメタブレイカ

 先述のように、このフォーマットでは多種多様なデッキで成功でき、明確に最強のデッキは存在しない。スタンダードのTier1デッキの性能はどれも明確な欠点・弱点を持っており、少しメタが異なったなら弱いデッキになっている可能性さえある。

 しかしヒップスターになりたいのであれば、獣ドルイドの株が現在非常に高く、人々がどれだけランプドルイドを愛しているかを考えると、下がる可能性も低い。掲載ビルドは先週、vSデッキコピー勢に大成功を与えた。つぎはぎの大工を信じる者は救われる。

獣ドルイド

 お疲れ様でした