虚無層

exit from society

vS200(慟哭の洞窟・2021/6/26)雑翻訳

  ダイエットで意識がもうろうとしている 

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-200/

クラス・アーキタイプ使用率解説

 ランクによるメタの最大の違いは、コントロールプリースト。ラダー全体ではそれなりの数プレイされているデッキが、トップレジェンドでは過度に支配的になり、プレイ率が20%に迫っている。今週はこのクラスに対して、コンテンツクリエイターの苦情が特に増えていることに気付いただろうか? さらに、トップレジェンドのコントロールプリーストのビルドは、ミラーに勝つためにますます貪欲になっている。それについては詳しく語りたい。

 断末魔デーモンハンターはラダー全体で減少している。このデッキのプレイ率はかなりインフレしていたが、先週に勝率の低下が観測されたため、それに伴って減少した。生命奪取デモハンはトップレジェンドで勢いを増しており、かなり多くなっている。

 シャーマンは引き続きエレメンタルビルドに移行しており、このアーキタイプはノール叩きとドゥームのバリアントに分かれているが、エレメンタル無しのドゥームハンマーデッキは徐々に減少している。シャーマンは明らかにトップレジェンド以外の領域では最も人気のあるクラス(トップレジェンドではアンドゥインが王)。

 トークドルイドは、最近の好調な成績に後押しされ、ラダーを上がるにつれて多くなり、使用率はトップレジェンドでピークを迎える。ピエロドルイドはほとんどのランクでトークンと同数に近いが、高レベルになるほど減っていく。星界配列ドルイドは姿を消しつつあるが、ジャンクデッキマスターJambreが開発したフクロウドルイドデッキが登場している。

 ミラクルローグもまた、ハイレベルなプレイヤーに支持されつづけているデッキ。このクラスのアーキタイプはすべて完全に理解されており、クラスの発展はない。

 急襲ウォリアーのリストがきれいになってきた。弱いン=ゾスビルドはプレイされなくなってきている。このデッキは、プリーストの多いトップレジェンドでもまだ人気がある。コントロールウォリアーはFAKE。

 ハンターの減少はやむないことだが、まだラダー全体で人気がある。ダラランで行われたフェイスハンターの実験がラダー界にも伝わってきており、このデッキの改善可能性について議論が上がっている。

 スペルメイジは低ランクでは非常に人気がある一方、トップレジェンドでも、プリーストにうんざりしているプレイヤーに一定の需要がある。

 ウォーロックパラディンへの関心はゼロ。コントロールウォーロックは、チケッタスの信者がFUNのために低ランクでプレイし続けると思われるが、競技的観点では使う利点はない。パラディンでは聖典パラディンの残党の中に、'何らかの変化'が見られる。

パワーランキング解説

マッチアップ分布

パワーランキング

  • プリースト
    • 高レベル帯のコントロールプリーストに起きていることは、非常に興味深い。
    • コントロールプリーストは、ほとんどのラダー帯では問題のないデッキであり、非常に平凡に見える。しかし、トップレジェンドになると、パフォーマンスが劇的に向上し、安定してカウンターすることも非常に難しくなる(その点ではシャーマンとメイジがベストな選択となる)。多くのマッチアップが改善され、非常に印象的なスキル上限(スタンダードでは1位)を示している。クラス別セクションで説明するように、フィールド全体がプリーストに対するパフォーマンスを最適化している最中だが、プリーストの勝率はまだ衰えていない。
    • 皮肉なことに、トップレジェンドのプリーストを暗殺するのは、プリースト自身かもしれない。ミラーマッチアップの重要性が増したことで、このデッキはよくばりの道を歩むことになり、他のマッチアップのいくつかを悪化させることになるだろう。おそらく、他のデッキがプリーストに対して最適なパフォーマンスを発揮するようになれば、その圧倒的な使用率に歯止めがかかるだろうが、それだけでは十分とは言えない。
    • もう一つの奇妙な要因として、プリーストの「譲歩される率」が挙げられる。対戦相手がシンプルに対戦を拒否して1ターン目にコンシードするゲームが、少ないとはいえ顕著な割合で存在するのだ。これらは相手がただで手放した勝てるゲームであり、その効果は些細なものではない。序盤のコンシードによるものだけでも、トップレジェンド(ミラーマッチアップを除く)でのプリーストの勝率が1%近くアップしていると推測。これほどにも相手のゲームに対する意欲を抑圧しているデッキは見たことがない(ちなみに、この現象は大会が終わった後も続いていたので、これはダラランの準備とはほとんど関係ない)。
  • デーモンハンター
    • 断末魔デモハンの勝率は安定しているが、コントロールプリーストとのマッチアップには懸念がある。長い間、有利なマッチアップと考えられてきたが、最高レベル帯ではもはやそうではないようだ。プリーストに対する優位性を取り戻すためには調整が必要。それは不可能ではなく、他のマッチアップを壊さずにそれを行う方法を詳しく説明したい。
    • 生命奪取デモハンのパフォーマンスは、これまで見てきたものと同じパターンを維持している。人気は高まっているが、メタ的な立ち位置が良くなったわけではない。人気が出れば出るほど、それが最も嫌いな相手にイルシアを利用される可能性も高くなる。
  • シャーマン
    • スペルメイジのような過度に状況に左右されるデッキを使わずにプリーストをカウンターしたいなら、シャーマンは最強の選択肢。また、ドゥームハンマーを使用することで、エレメンタルシャーマンのこのマッチアップはさらに向上する。
    • 高レベル帯で、エレメンタルシャーマンのパフォーマンスが多くのマッチアップで驚くほど低下していることは認識している。これは、トップレジェンドのこのアーキタイプにおいて、プリーストを狙ったドゥームハンマー型が台頭してきたことと一部関係しており、このバリアントはノール叩き型ほど洗練されていない。
  • ドルイド
    • トークドルイドは明らかにプリーストの増加が嬉しくないものの、そのマッチアップ分布はプリーストの増加を十分補えるものであり、スタンダード最強デッキの1つであり続けるだろう。ピエロドルイドは、対戦相手にもよるが、50%前後を推移している。もはやプリーストへの有効なカウンターではなく、デーモンハンターやウォリアーへの回答と考えた方が良いだろう。
    • 数少ないフクロウドルイドがどのようなパフォーマンスをしているのか気になる方には、このデッキは強くないし、長続きしないと言っておこう。
  • ローグ
    • ラクルローグは好調ではないが、じゅうぶん競争力を維持した成績を残している。このデッキはスタンダードにおいて、コントロールプリーストの次に高いスキル上限を示しており、それがこのデッキを支えている。秘策ローグは、ラダーのほとんどの部分で良い成績を残しているが、高レベルになると落ちてしまう。これはスキルと、メタ(トークドルイドの増加)の両方に関連している。
  • ウォリアー
    • 急襲ウォリアーは強力で、全てのレベル帯で唯一のTier1である理由は、大部分がその柔軟性による。プリーストとのマッチアップを考えると、トップレジェンドでは落ちてしまうのではないかと予想できるが、持ちこたえている。このマッチアップを見てみると、高レベルでは大幅不利ではないことがわかる。これは、急襲ウォリアーがよくばりの方向性に言ったことで、プリースト側の戦略の裏をかいた結果による。さらにこの点では、急襲ウォリアーにはより成長し、良い判断をする余地がある。
  • ハンター
    • フェイスハンターは、予想通りパフォーマンスが徐々に低下している。トークドルイドと同じで、プリーストに対応する柔軟性がなく、構築の実験では、デッキの明確なアップグレードはできなかった。今のままのリストが一番いいかもしれない。
  • メイジ
    • スペルメイジの存在は、プリーストが完全に制御不能になった場合に、重要な消火装置になる可能性がある。詠唱者の循環が多くのプレイヤーの不満の種になっている一方で、スペルメイジのメタにおける比較的ニッチ的な役割によって、プリーストの勝率はTier1未満にとどまっている。
  • パラディン
    • おや、これは? 聖典パラディンの勝率が明らかに向上しており、この小さな復活の原因らしき新しいビルドについて調べてみた。パラディンがより注目されるまでは何も保証できないものの、データによると、もしこのアーキタイプがナーフ後の改良に成功すれば、このクラスはまだ競争力を保つことが出来るようだ。これが実現すれば、ウォーロックはこのフォーマットで唯一の「ゾンビクラス」となる。

クラス別分析

プリースト

 プリーストはトップレジェンドのメタに大きな影響を与えており、その人気はあまりにも高いため、コントロールプリーストの内部でも劇的な変化が起こりそうなところまで来ている。

 劇的な展開について語る前に、泥棒バリアントの構築は完成したように見える。ラダーのほとんどではこちらのほうが運用したいプリーストデッキになる。カバールの侍祭のパッケージは、高い人気を誇るエレメンタルシャーマンや断末魔デーモンハンターに対して優れており、他のマッチアップでも一般的にかなり有用。しかし、このビルドはあまり柔軟ではなく、イルシアのようなテックが怖い。

 しかし、トップレジェンドでは何が起こっているのだろうか? ミラーが増加したことで、考えられないことが起きている。クトゥーンがバニラ構築で純粋に良いカードになったのだ。このマッチアップではセセックのヴェールウィーヴァーの効果が低下しており、このマッチアップで大きなアドバンテージを得ようとするならば、旧神を採用した方がはるかに良いことがわかった(クトゥーンあり対なしのマッチアップは60:40に近い)。クトゥーンのプリーストでの役割は、悪党同盟でのコントロールウォリアーにおけるエリシアーナの役割を思い出させる。ミラー税とでも呼べるものだ。

 また、名付けられざるものというカードも、このバリアントでは効果的。コアカードとまでは言えないが、いくつかのマッチアップではかなりの価値を発揮する。このカードは、ミラーでは素晴らしく、ローグ/ウォリアーに対しても優れており、侍祭がない場合には断末魔デモハンに対する強力な回答となる。より多くの生命奪取デモハンに遭遇している場合はイルシアに置き換えることができるが、彼女がゲームチェンジャーとなるマッチアップは生命奪取でモハンのみ。

プリースト:クラスレーダー
泥棒コントロールプリースト
クトゥーンコントロールプリースト
ラリーミラクルプリースト

デーモンハンター

 プリーストの人気が高まっているため、断末魔デーモンハンターでフェルスティールの剣精を運用したい。これまではデキへの組み込み方は不器用なものだったが、この武器はここ数週間掲載してきた脅威密度の高い構築に加えられるようになってきた。これは日陰草の非行生徒でアグロに寄せるよりも良いアプローチだと思われるし、4ドロップが増える心配もない(激昂のフェルスクリーマーはかなり弱い)。

 入れ替え候補のカードは、マンクリックとヴェクタス。フェルスティールの剣精は、プリーストに対する勝率増加にかなり役立ち(5%以上)、ローグ、メイジ、生命奪取デモハンに対してもプラスの効果がある。しかし、シャーマン、急襲ウォリアー、トークドルイド、フェイスハンター、そしてミラーに対してはマイナスの効果となる。採用カードを決定する際には、その点を考慮するとよい。

デーモンハンター:クラスレーダー
慟哭の断末魔デモハン
スタンダード生命奪取デモハン

シャーマン

 シャーマンは、プリーストの完全制覇を阻む1つのクラスであり、その2つのアーキタイプは、どちらも例のエモートモンスターとの相性が良い。

 先週紹介したドゥームエレメンタルシャーマンの斬新なビルドは、結論としては完璧だった。カード選択の理由については、先週のシャーマンのセクションをご覧いただきたい。我々が理論上で言ったことは、実際にその通りだと証明された。このビルドでは1枚のカードも変更せずとも、ノール叩きエレメンタルシャーマンと同じくらい強そうだ。

 ノール叩きのバリアントでは、イナラのプレイ率が上昇しており、アレクスやアラキアよりも優れていることがわかった。強いカードは強いということですね。

 どちらのバリアントのほうが良いか? ドゥームパッケージはコントロールプリースト、急襲ウォリアー、生命奪取デモハンに強い。ノール叩きパッケージはトークドルイド、フェイスハンター、ローグ、そして他のシャーマンに強い。

シャーマン:クラスレーダー
ノール叩きエレメンタルシャーマン
ドゥームエレメンタルシャーマン
ナラレックスドゥームシャーマン

ドルイド

 トークドルイドでは「導き」の人気が上昇しており、このカードはかなり良さそうだ。実際、この1マナ呪文のために森の魂を完全にカットしてもいいかもしれない。あなたは私たちをクレイジーだと言うかもしれないし、コントロールプリーストの増加に言及するかもしれないが、興味深いのは、この変更を行っても、プリーストのマッチアップが大幅に悪化することはないらしいということ。導きのリロードポテンシャルが非常に大きく、プリーストが一貫してあなたのボードをクリアし、森の魂の価値を否定できるケースでは、より有用であるということかもしれない。

 さらに、他の多くのマッチアップで導きの方がはるかに有用であることを考えると、導きが勝っているように見える。この最後の枠は柔軟に対応できるので、まだ決めかねている人は1対1のスプリットにしてもいいだろうう。いずれにしても、マリガンでは導きをキープしないようにしよう。

ドルイド:クラスレーダー
導きトークンドルイド
結界ピエロドルイド
The Worst Deck(※星界配列ドルイド)

ローグ

 慟哭の洞窟でのローグのストーリーには、何のイベントもない。アーキタイプには全く変化がなく、メタにおける立ち位置も完全に平均値。多くのプレイヤーがラクルローグのプレイを楽しんでおり、あまり反感を買わない魅力的なプレイスタイルを持つ、非常にバランスの取れたデッキであるようだ。秘策ローグは実行可能な代替案であり、毒ローグはプリーストに対する有利を保てずに落ち込んでいる。 

ローグ:クラスレーダー
アレクスミラクルローグ
ときめき秘策ローグ
纏い毒ローグ

ウォリアー

 急襲ウォリアーは、優れたマッチアップ分布を持つ強力なデッキで、勝率を下げているのは主に対コントロールプリーストだが、ありがたいことに、高レベルでのプリーストの人気には、適応する方法がある。

 バニラビルドとサウルファングビルド、両方がそれぞれの役割を果たしている。サウルファングビルドのほうがプリーストに対する性能が微不利まで向上する。追加のカードドローは非常に大きい。また、他のウォリアーやメイジ、ウォーロック(リソースを使い切ろうとするデッキ)に対しても有利になる。バニラ版は、ドルイド、ハンター、シャーマンといった、より積極的にボードを奪い合いたい相手に対してより強くなる。デーモンハンターやローグに対してはどちらでもあまり変わらない。

ウォリアー:クラスレーダー
バニラ急襲ウォリアー
サウルファング急襲ウォリアー
サイラスコントロールウォリアー

ハンター

 ムーンファングと伸縮自在ポーチを使ったフェイスハンターの実験が話題になっている。私たちはそれらを完全に否定するために来た。この2種のカードを調べたところ、ラダーでの使用には適しておらず、また、紹介するビルドを変える理由も見当たらなかった。

 断末魔ハンターの実験も行われている。このデッキはとても、とても弱そうだ。この拡張でのハンターの居場所はフェイスだけ。

ハンター:クラスレーダー
くねくねフェイスハンター

メイジ

 スペルメイジの現在のメタでの唯一の役割はプリーストを殺害すること。それ以外にラダーでこのデッキを使う理由はない。下位ランクのプレイヤーの多くは、明らかに楽しみのためにこのデッキをプレイしているが、勝ちたいのであれば、もっと良いデッキがある(もっとも、これは「悪い」デッキではないが)。

 今度、スペルメイジが2ターン目に循環を引くところに出会ったときには、彼らがハースストーンのメタの他の部分では社会に貢献していることを思い出してください。

メイジ:クラスレーダー
シューティングスター・スペルメイジ

パラディン

 パラディンがまだ戦える可能性を示す動きがある。聖典パラディンの改良によって勝率が上がり、ほとんどのランクで50%に近づいている。このデッキはさらに向上する可能性があるので、先週見えたほどこのクラスは死んでいないかもしれない。

 このアーキタイプの大きな変更点は、初登校の日をカットし、スコーピッドとナラレックスによる3ドロップのリソースパッケージを運用すること。神罰聖典を2枚採用することで、プリーストとの相性は良くなると考えられる。また、スコーピッドの採用により、相性のいい空飛ぶほうきが復帰している。

 もし、あなたがかつてパラディン・ヒップスターであったことを懐かしく思っているなら、これはチャンスかもしれない。

パラディン:クラスレーダー
信念聖典パラディン
ン=ゾス秘策パラディン

ウォーロック

 グルダンの現メタにおける最良の位置は、頭をイリダンの左の手(札)に置くことだ。

 哀れなウォーロックよ……

ウォーロック:クラスレーダー
チケッタスコントロールウォーロック

今週のメタブレイカ

 コントロールプリーストの高レベルプレイでの急増を誰も止められないのか? ミラーにおける毒薬「クトゥーン」は、アンドゥインのドヤ顔を叩き落とす存在となるのか? 今回のレポートでは、ハースストーンの競技メタに最大の脅威を与えているデッキをどうカウンターするかに主眼を置いている。純粋なゲームバランスの観点からというよりは、競技プレイヤーの正気を保つためである。

 データアナリストとして、私たちはプリーストが魅力的であると感じているが、その多くは心理的インパクトによるものだ。クエストローグのように、1ターン目で相手にコンシードさせてしまうこともある。しかし、勝てるマッチアップでこのような早いコンシードを引き起こすことは、全く別の問題。

 コントロールプリーストは単にプレイヤーを倒すだけではない。今までに見たことのない方法でプレイヤーを萎縮させている。極端なマッチアップ分布でもなく、圧倒的な総合勝率でもない、これは……欺瞞だ。

コントロールプリースト

 お疲れ様でした