虚無層

exit from society

vS215(アルタラック初回(Nerf前)・2021/12/18)雑翻訳

 この一週間何をしていたかと言うと 特に何もしていませんでした ダラダラしてました すみませんでした

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-215/

クラス・アーキタイプ使用率解説

 『烈戦のアルタラック』のロンチは、とても大きかった。巨大だった。ドデカかった。まるでフクロウのようにドデカかったぜ。”ドデカいフクロウ”は拡張のローンチを支配するほどドデカかった。フクロウウォーロックは最も人気のあるウォーロックデッキとなり、他にも多くのウォーロックデッキが存在する。ハンドロック、ファティーグ、ズー、そして有名なメタの暴君、チケッタスさえも観測されている。

 シャーマンはもう一つの、選択肢豊富なクラスのようだ。凍結シャーマンは、あらゆるニーズを満たす非常に強力なクラスセットに後押しされ、まともな選手候補として浮上した。”ボルナー/電光刹花/ヤシャラージュ”のOTKもついに活用されており、ボルナーシャーマンはアルタラックの覇権をかけて凍結シャーマンに挑戦しようとしている。そしてエレメンタルやクエストシャーマも、凍結のツールをいくつか追加している(バーンシャーマンは、今回のレポートには登場が遅すぎた)。

 ローグでは泥棒パッケージが広く探求され、泥棒アーキタイプは様々な構築やアプローチで溢れており、プレイヤー達はマエストラを中心とした競技用デッキの最適解を見つけようとしている。しかし、ラダーを登るにつれて、見慣れた顔が多くなる。ワイヤーローグがレジェンドトップで増えている。クエストローグも潜んでいる。ポイズンローグも少々。この3つのデッキは、ほとんどが影業師スキャブス以外の新カードを追加していない。

 パラディンはいつも通り、素晴らしい拡張スタートを切った。レジェンド・ランク以外で最も人気のあるクラスであり、先頭は聖典パラディン、続くのはバフパラディンであり、ハンドバフパラの地位を奪ったようだ。ちなみに、ライトフォージのキャリエルを採用しないパラディンデッキは1つもない。

 ドルイドは様々な方向を実験しているが、ラダーを上がるほど、星界配列ドルイドが多くなっている。このデッキがより輝くための舞台が整ったのか、それとも単に遅いデッキや弱いデッキを罰しているだけなのか? 答えは後ほど。挑発ドルイドは少数ながら存在する。ドレクサーに特化したデッキも見られるし、”フロストセイバーの長”を利用した獣ドルイドを試しているプレイヤーもいるようだ。

 またフェイスハンターか、それとも破綻か? クラスの多様性に関しては、初期の兆候はあまりよくない。フェイスハンターは、ダイヤ4あたりからクラスの大部分を占めるようになる。ビッグ獣ハンターは”ヤマグマ”や様々なパッケージとともに実験されている。クエストハンターは消えつつある。

 デーモンハンターは、最も魅力的なクラスセットの1つを様々なアーキタイプで活用しようと試しているため、かなり多様性がある。ビッグデモハンは予想通り、それなりにプレイされている。断末魔デモハンは序盤と終盤の両方でアップグレードを試みている。トークンデモハンの戦略も存在し、新しいヒーローカードを試している防御的なフェルデモハンも存在する。しかし、トップレジェンドで首をもたげつつあるのは、昔ながらの生命奪取デモハン。

 メイジのアーキタイプはいくつかプレイされているが、そのほとんどはメタが進化するにつれ消えている。クエストメイジ、ビッグスペルメイジ、山火事メイジは(たぶん)あまり強くない、とプレイヤーが気づいたため、トップレジェンドで生き残ったのはモザキメイジだけ。

 ウォリアーでも同様の展開が見られ、クエストウォリアーはスタンダード全体では多いが、レジェンドランクになると著しく減少していく。コントロールウォリアー系のデッキはほとんど見向きもされなくなった。現在のウォリアーは、デッドマイン直後のウォリアーとほぼ変わらない。

 プレイヤーは熱心に、新拡張でプリーストを再びプレイ可能にしようとしてきた。ビッグプリーストとクエストプリーストはラダー全体ではそれなりに存在するが、トップレジェンドではほぼ存在しない。これは彼らの将来にとって良い兆候ではない。興味深いことに、トップレジェンドではミラクルプリーストが微増加しており、プレイヤーはアイアンディープ・トログこそがこのデッキに欠けていたピースだったのかもしれないと気づきつつある。

パワーランキング解説

マッチアップ分布

パワーランキング

 拡張の第一報。いつも通り、現在の勝率だけを語るのではない。あらゆるデッキの改善余地や、その将来性について語る。

  • ウォーロック
    • フクロウウォーロックは、ほとんどの盤面ベースの戦略に対して優れたマッチアップを持つ正統派強力デッキだが、相手がそのダメージベースの除去キットを回避する多くの聖なる盾や巨大バフを実行していれば話は別(バフパラディン)。主な弱点は腐り錆びのクサリヘビと盤面外の勝ち筋。武器のクロックを失えば苦戦するし、またワイヤーローグ、モザキメイジ、星界配列ドルイド、生命奪取デモハンなどのようなコンボに対しては、速度で上回ることができない。
    • フクロウウォーロックには確実にカウンターできる方法があり、それらが増加してきたため、勝率、デッキのプレイ率は低下傾向にある。しかし、フクロウウォロの存在は、一部のプレイヤーが「ソリティアメタ」と呼ぶ、手札に集中し、できる限り盤面を無視し、自分のやりたいことだけやるデッキの増加を促進する。ある意味、現在のメタはストームウィンド以上に、その方向に傾いている。
    • 仮にフクロウコンボだけをナーフしても、おそらくファティーグ・ウォーロックを復活させるだけだろう。このデッキはフクロウウォロと非常によく似たマッチアップの弱点を持っており、その上でフクロウウォロに弱い。フクロウをナーフすれば、現在フクロウがいる場所と全く同じ場所にファティーグウォロが帰ってくることになるだろう。皆さん、フクロウが問題なのではない。この鳥は放っておこうではないか。
    • そしてスタンダード最強のウォーロックデッキはまた別にある。ハンドロックは非常に位置が良く、現在のパワーレベルと柔軟性に比べ、非常に過小評価されている。クサリヘビにも弱くない。
    • まだ終わっていない。チケッタスウォーロックは一見するとデータはひどいが、ビルドによって大きな差がある。とあるリストを使えば、Tier 3に値する強さになると見積もっている。このデッキはウォーロックミラーではあまり良い結果を出せないが、パラディンへのカウンターとしては優れている。
  • シャーマン
    • 凍結シャーマンはTier1の可能性をちらつかせている。このデッキは明らかに強いだけでなく、まだ新しいデッキなので、改善の余地が大いにある。トップ・パフォーマーとしての地位を確立する可能性は十分にあるが、ひとつだけ問題がある。スタンダード環境が盤面外の戦略に傾いた場合、カードの多くは力を失ってしまう。また、「ハンドロック」「ワイヤーローグ」にも深刻な問題があり、これらのデッキの人気は高まる一方である。フクロウウォロや、おそらくワイヤーローグに対処する方法はあるが、ハンドロックは難しい。
    • ボルナーシャーマンはガチ。凍結シャーマンと同じような改善策があり、Tier2には留まる可能性が高い。しかし、これらのデッキは似たようなツールを搭載しているため、弱点も似ている。OTKによる盤面外での勝利は可能になったが、勝ち筋が他のコンボよりも遅いのは変わらずなので、ウォーロックと「ソリティアカウンター」によって構成されたメタは嬉しくない。
    • エレメンタルシャーマンは間違いなく過小評価されている。ストームウィンド時代と同じく、異なるマッチアップを対象とした、2つの異なるバリアントがある。ドゥームハンマーは、今も高レベル帯で強力なカード。
    • エストシャーマンは悪くはないが、クラス内の他の選択肢より弱い。本人の競争力はあるが、上位互換がいるせいで消えてしまうかもしれない。
  • ローグ
    • ワイヤーローグは再びトップレジェンドラダーの王者となった。ナーフ後も、このデッキを安定して倒すのは非常に難しい。信頼できるカウンターは、高レベルでは星界配列ドルイドと生命奪取デモハンの2つだけ。ワイヤーは今週末の世界選手権のラインナップをほぼ決定づけた。影業師スキャブスはこのデッキで大活躍している。
    • パラディンのカウンターをお探しなら、クエストローグに注目だ。非常に強力なデッキで、高レベルではワイヤーに食われてしまうが、ラダー全体を通してみれば非常に強いデッキであることに変わりはない。ウォーロックとのマッチアップに難があるため、上位に食い込むことはできないようだ。影業師スキャブスはこのデッキでもスゴい。
    • 泥棒ローグはまだ解明されていない。単に他のローグデッキのレベルに達していないだけかもしれないが、少なくともこのデッキをTier4から脱却させるべき有望な方向性はある。このアーキタイプはまだ雑多な構築が多いので、現在の勝率はお世辞にも良いとは言えない。
    • プレイヤーは「クサリヘビメタ」でポイズンローグを動かすことを恐れているようだが、このデッキは今なおかなり強いと言えば驚くだろうか。
  • パラディン
    • パラディンはレジェンド以外のメタを支配しているように見えるが、レジェンドでは”ただの”最強クラスの一角となる。聖典パラディンのマッチアップ分布はめちゃくちゃ優秀。トログを非常に効果的に利用してプレッシャーをかけることができる。ライトフォージのキャリエルのおかげで構築が戦車並みに仕上がっている。ドローの安定性がさらに高まった。究極のハースストーンデッキに見える。ただ、弱点はあるし、これ以上の改善の余地は少ない。しかし、メタの頂点、もしくはそれに近い位置に留まるだろう。レジェンドへの上りには最適なデッキ選択。
    • バフパラディンはフクロウウォロを脅かす唯一の盤面デッキかもしれないが、その圧倒的な性能にもかかわらず、聖典パラディンの影に忍んでいるようだ。構築の改善可能性が低い可能性はあり、高レベルでは成績がやや低下するものの、低ランクでは依然として強豪。ハンドバフパラディンはバフパラの下位互換のようで、独自のニッチも持っていない。
  • ドルイド
    • 星界配列ドルイドは、少なくとも高レベル帯では、過去最高に強い。ソリティアメタ? このデッキはソリティアメタの王者だ。このデッキはあらゆる盤面外デッキを破壊する。盤面外のコンボ戦略をすべて打ち負かすデッキであり、アグロに勝てないという代償も、今のところはその価値があるようだ。トログが現れるだけで状況は一変するが、今のところラダーの特定のランクではかなり楽しんでいる。ただ、トーナメントシーンでは? 世界大会は? ワイヤーローグや生命奪取デモハンが一般的な選択肢となるような場所では?
    • 挑発ドルイドは弱い? そうでもない。このデッキは、拡張後に”レイザーメインの戦闘衛兵”が省かれた構築が最多になってしまったことでひどい目に遭っている。そのせいで勝率は消し飛んでしまった。戦闘衛兵を抜くことが良い考えだなどとは……。改良した、トログを活用した挑発ドルイドは、間違いなくトップ選手の一人。
    • ドレクサードルイドは良いデッキではない。バーンズにトラウマを抱えているプレイヤー達は安心してよい。
  • ハンター
    • フェイスハンターは強力であり、カードの選択によってさらに向上する余地もあるため、このアーキタイプは今後も、欲張りなデッキのいくつかを罰し、環境にとって重要であり続けるだろう。新セットではフェイスハンターに対して非常に有効な強力な防御手段が多数導入されたため、マッチアップの分布はストームウィンドの頃ほど強くはない。しかし、どんなデッキであろうと、あまり多くの防御手段を積むと、ソリティア戦隊によって罰せられてしまう。このサイクルによって、フェイスハンターの居場所は確保されるだろう。
    • 衝撃的なニュース。ビッグ獣ハンターはゴミデッキではない! 実際、競争力のありそうな構築が1つある……かもしれない? このような貪欲なハンターのアーキタイプが勝率40%台前半を脱するのは長い間見たことがなかったので、48%前後の勝率でも夢のように思われる。新しいハンターデッキを切望する人は、ついに願いを叶えることができるかもしれない……しかしあるいは、大量のニッチなレジェンドミニオンに魔素を浪費することになるかもしれない。メタは時が経てば経つほど非情になる一方なので、このデッキもより改善する必要がある。それはある程度は可能なのだが、最高どこまでいけるかはまだ分からない。
  • デーモンハンター
    • ビッグデモハンはビッグ獣ハンターと似たような立ち位置。ポテンシャルは有望と思われる特定の構築が1つあるが、メタがより冷酷になり、”不器用な”デッキを罰する可能性が出てくると、その程度の改善では十分とは言えないかもしれない。新しいアーキタイプを否定するにはまだ早い。既存のデッキより悪く見えるだろうが、改善の余地はかなりある。
    • 断末魔デモハンは最も構築が固まっているデモハンデッキであり、それゆえに好成績を収めているが、改善の余地は少なく、より洗練された高レベルのメタにおいて極端に悪くなるその成績は、ある種の限界を示すものであろう。
    • 最大の話題は、今回のTier表には載っていない。生命奪取デモハンは、ワイヤーローグを止めるために、トップレジェンドの傑士として戻ってくる可能性が非常に高い。高ランクでは最強のデモハンデッキになるだろうと推測される。フェルデモハンもまた、今後数週間のうちには、新しいカードを活用する可能性のあるデッキとして期待されている。
  • メイジ
    • メイジは、モザキ以外はダメ。ビッグスペルメイジはスタンダードで最悪のデッキで、勝率はもうケタが違う。モザキメイジもあまり強くない。マッチアップの非常に偏ったデッキだが、ウォーロックとシャーマンに強いため、このデッキは重要な存在であり続けている。総合的なクラスの見通しはあまり明るくない。
  • ウォリアー
    • ウォリアーは、クエストウォリアー以外には何もない。強力なデッキではあるが、新しいものは何もない。コントロールウォリアーはビッグスペルメイジと同じぐらい悪い。主要なレイトゲームデッキに対して、ほとんど勝ち目がない。クエストウォリアーはある程度、序盤のジャンキーなメタに乗じてタダ勝ちを拾っている。構築の改善の余地はあまりない。レジェンド以外では優位を保つと思われるが、高レベルでは壁にぶつかるだろう(すでに、ある程度そうなっている)。
  • プリースト
    • プリーストの物語は、コントロールウォリアーと似ている。プレイヤーは”ビッグ&クエストプリースト”をプレイして興奮しているかもしれないが、これらのデッキは別に勝てはいない。10マナに到達する前に、とくに努力せずとも無限ダメージを与えられるデッキがあるので、相手のリソースアウトを主目的とするデッキの改善可能性はあまりない。
    • ラクルプリーストは、少なくとも高レベルでは、このデッキの特筆すべきスキルキャップの高さにより、競争力があるようだ。このデッキはトログを完全に信じれば、トップレジェンドでは使える可能性がある。最高のデッキとまではいかないが、それなりのものにはなるだろう。

クラス別分析

ウォーロック

 フクロウウォーロックは、その素晴らしい生存手段と、魂壺コンボで最大112ダメージを与える能力で、拡張初期の数日間、メタを席巻している。しかし、ミスリルロッドに極端に依存し、他のコンボ戦略とのマッチアップが悪いため、増えつつあるカウンターに対して脆弱であり、このデッキのプレイ率と勝率は低下傾向にある。それでも、フクロウウォーロックはメタで非常に重要な位置を維持するのに十分な強さを持っているはずだ。

 先週セオリークラフトしたビルドは完璧な形だったようだ。生の苦悩か悪の大輪のどちらかの代わりに、ミラーのためのテックとしてクサリヘビを採用するという選択肢もある。

 ハンドロックは静かながら最強のウォーロックデッキになりつつあり、様々なマッチアップと戦える柔軟性を持っている。通常、先週我々がセオリークラフトしたものと同じように、”ドレッドリッチ・タムシン”(現在、相性最高だと証明されている)と”悪の大輪”を採用するのが望ましいだろう。高レベル帯では数枚の除去の代わりに”炎の祭壇”と”教団の新入会員”を入れることで、人気の高まっているOTKデッキに対して役立つ可能性がある。

 ファティーウォーロックは、ストームウィンド終盤と同じようには成功できていない。フクロウウォロが環境にターゲットされていることで、ファティーグウォロにも影響を与えている。どちらのデッキもミスリルロッドに依存しており、より速いコンボ戦略に対して苦戦する。その上、ファティーグウォロはフクロウウォロに対して不利でもある。

 チケッタスウォーロックが復活し、統計上はダメに見えるが、とあるビルドはなんとか戦えそう。マリシアとヤシャラージュを採用した魂の欠片のバリアントはまともに見える。より人気のあるリストはダークポータルとフェル学に力を入れているが、こちらは勝率が30台となっている。

ウォーロック:クラスレーダー
フクロウウォーロック
タムシンハンドウォーロック
ファティーグクエストウォーロック
チケッタスコントロールウォーロック

シャーマン

 アルタラックはシャーマンというクラスを完全に復活させ、信じられないほどの戦略的多様性を示すようになった。

 凍結シャーマンはもはや「凍てつく玉座の騎士団」時代の色あせたミームではなく、このフォーマットで最高のデッキの中に位置する正当な候補となった。新しいデッキの改良はまだ進行中であり、改善の可能性も大いにあるが、私たちは現時点の最適な構築を特定した。

 電光刹花から”ワイルドポーの洞窟”の動きがあまりにも強いため、電光刹花はデッキのコア。競売ハンマーのサーチはそこまで必須ではないため、金網デスマッチ管理係は不要。ミュターヌスはこのデッキ最高のカードの1つで、ボルナーやインコとシナジーは嫌になるほど強く、コンボ戦略を撃退するのに欠かせない存在。バトマスは”降雪の守護者”や”スバラシインコ”と組み合わせることで、盤面重視の相手を蹂躙することができる。フクロウウォーロックは通常このデッキの最悪のマッチアップの1つであるため、現在のメタでクサリヘビを2枚採用することは恥ずかしいことではない。掲載のデッキリストならこのマッチアップは五分五分で、ミュターヌス/クサリヘビを採用しないデッキと比べると15%以上改善されている。これは非常に価値のあることだ。

 しかし、ミーム強力なメタデッキに変身したのは凍結シャーマンだけではない。昨年から繰り返し試みられていた「ボルナー/電光刹花/ヤシャラージュのOTK」が、ついに強力な居場所を見つけたのだ。ボルナーシャーマンは凍結シャーマンに比べてより防御的なデッキで、フィニッシュにはダンクタンクとサーカスの救護員を用いる。

 あらためて言うと、現在のメタにおいて、ミスリルロッドの暴走を確実に止め、自分の動きを実行するのに十分な時間を稼ぐために、クサリヘビを2枚運用することは恥ではない。テックカードが罠になるとき最初にそれを告げるのは我々という噂もあるが、今はその時ではない。

 また、”鎧売り”と”始原のダンジョニア”はこのデッキに最適。ダンジョニアは”降雪の守護者”とコンボパーツ(電光刹花、ダンクタンク)を同時に引く可能性があり、これは”守護者”の優秀さを考えると驚異的。そこまで強い引きでなくとも”ワイルドポーの洞窟”を引くことができ、これも決して悪くない。

 ファイアハート教官はやや過大評価。凍結シャーマンでは採用可能ラインだが、一般的にはもっと早いデッキにおいて、追加燃料として使うほうが良いパフォーマンスを発揮する。”水底に潜むもの”は信頼の防御能力と同時にタンク/救護員を変妖させることができるため、こちらのほうが強い。

 エレメンタルシャーマンもかなり好調。凍結パッケージ入りのビルドは、速い相手に対して最も効果的。先週のセオリークラフトから微調整を行った。”降雪の守護者”とブルカンは地力が強すぎて早いデッキでも採用価値があるし、”ワイルドポーの洞窟”は電光刹花ナシでは十分な強さとは言えない。

 ドゥームハンマー型は、防御寄りの盤面外デッキを罰するという点では今でも強いし、降雪の守護者のおかげで、アグロデッキに対する生存と時間稼ぎ能力も強化された。トップレジェンドではこちらの型を運用するほうがよいだろう。

 エストシャーマンも”寒風”と”霰ん坊”の恩恵を受けている。掲載のリストは、先週のセオリークラフトと同じ。”霰ん坊”はノート取りよりも間違いなく、大幅に優れている。このデッキでは”マルチキャスター”が無茶苦茶に強い。クエストシャーマンをプレイしていて手札が尽きることは、おそらく二度とないだろう。

 バーンシャーマンアーキタイプは、このレポートのデータベースが閉じられた後に出現し始めたばかりである。まだデータがないだけなので、次のレポートで説明しよう。

シャーマン:クラスレーダー
ミュターヌスクサリヘビ凍結シャーマン
ボルナー変妖シャーマン
凍結エレメンタルシャーマン
ドゥームエレメンタルシャーマン
マルチキャスタークエストシャーマン

ローグ

 ローグのアルタラックのセットは全体的には豪華ではなかったかもしれないが、影業師スキャブスはそれを1枚で補って余りある、ストームウィンドで確立した全てのデッキをより高みへと押し上げるものだ。我々のメッセージはひとつ。ローグのデッキにこのヒーローカードを入れよ、さすれば全部うまくいく。

 ワイヤーローグは初期の洗練されていないメタを利用し、トップレジェンドで圧倒的な成績を残した。教団の新入会員は対コンボでのレイトゲームを助けるカードとして人気があるが、ワンド泥棒や、2枚目の段取りを代わりに入れてもよい。クサリヘビは”ライトフォージのキャリエル”の武器”不動の物体”という弱点を軽減することができるので、選択肢としてアリ。

 エストローグはストームウィンドの頃と同じく、恐ろしく効率のいい単体除去のおかげで、パラディンに対する素晴らしいカウンターとなる。影業師スキャブスのおかげで、スマイト/テンウーのパッケージが使いやすくなった。

 毒ローグはあまりプレイされていないが、かなり期待できる。クサリヘビの増加を考えれば意外に聞こえるかもしれないが、このデッキはウォーロックに対して非常に有利。とはいえ、このデッキが”環境的には有利”以上のものになるとは思えない。

 泥棒ローグはこのセットから生まれた新アーキタイプで、新しいデッキなので、構築の解明は非常に難航している。今のところ我々が確認した最も有望な方向性は、秘策バリアント。脳天直撃ガールは対パラディンの試合をひっくり返す存在であり、影宝石商ハナー、ワンド泥棒、そして壊れカードの”偵察”は、ともに”隠し禁制品”の燃料となる。さらに、ときめきインチ騎手を忘れてはいけない。このカードは秘策デッキでは非常に強力だが、過小評価される傾向にある。新しい秘策パッケージでも、間違いなく核となるだろう。

 逆に弱いカードは何か? 怪盗紳士は”ワイルドポーのノール”や”隠し禁制品”と特に相性が良いとは言えない。1ターン目の動きとしては、カトラスを交換するほうがよほど強い。ヴァネッサは稀に非常に強い瞬間があるが、狐の騙し屋を欠くことになるため、一貫して残念な結果に終わっている。

 これは確かに最終結論リストではないし、秘策以外のビルドで何か強いものが出てくるかもしれないが、現時点ではこれが明確な勝ち組。

ローグ:クラスレーダー
スキャブスワイヤーローグ
影業クエストローグ
スキャブス毒ローグ
秘策泥棒ローグ

パラディン

 パラディンは、新拡張の初期にスタンダード環境を完全に支配するという、いつも通りのパラディンをやっている。他のクラスもある程度は追いつくだろうが、パラディンが大きく人気を落とすことはないだろう。

 聖典パラディンはラダーのほぼすべてのランク帯で最強のパフォーマンスを発揮している。このデッキは27枚のカードが絶対採用のコア枠で、その中にはクサリヘビ人気にも関わらず非常に影響力のあるカードである”ライトフォージのキャリエル”も含まれている。”アイアンディープのトログ”はアルダーの従者と並ぶ完璧な1マナミニオンで、ゲームのどのターンにおいても脅威的なムーブを可能にしている。”ストーンハースの擁護者”は敬虔な生徒のパワーと安定性をもう一段階押し上げた。

 では残りの3枚をどうするかが問題だが、バロフとほうき2枚に落ち着くのが結局正しいようだ。ほうきは、あらゆるボードベースのマッチアップで非常に重要な、逆転の可能性を与えてくれる。バロフは正義の聖典(ヒーローカードを入れるために真っ先に抜けた)にかわる、全体除去カード。

 バフパラディンは、フクロウウォーロックに対して最も効果的な、盤面ベースのカウンターデッキとして登場した。「縦の展開」(スタッツの高い少数のミニオンの展開)と、豊富な聖なる盾により、ウォーロックのダメージ系除去を上手く使えなくする。私たちは、さらなる改善の可能性に期待しつつも、トップエンドのドローエンジンとしてヴァリアンを採用させることを推奨している。ネルビアンの卵は良くない。

 ハンドバフパラディンはバフパラディンと見比べると、やや時代遅れに見えてしまう。環境はパラディンに対してより速く、より冷酷な脅威の展開を要求しており、現在はプリズム宝石のバフよりも呪文ベースのバフのほうが効率がいい。

パラディン:クラスレーダー
ライトフォージの聖典パラディン
ヴァリアン・バフパラディン
ライトフォージのハンドバフパラディン

ドルイド

 アルタラックではコンボデッキがかなり普及しそうなので、星界配列ドルイドはストームウィンドのときよりもいい勝負ができそうだ。トップレジェンドのメタが「ソリティア環境」に移行していくなら、このデッキがそのすべてを支配することになるだろう。ワイヤーローグ、フクロウウォーロック、モザキメイジ、生命奪取デモハンを非常に安定して破壊している。

 掲載のビルドは、配列マスターであるFeno氏が普及させたもの。ゴールドシャイアのノールを発芽に変えるという可能性は、かなり興味深い。レディ・アナコンドラやミスター・スマイトとのフィニッシュシナジーもあり、防御面での有用性も高いため、発芽を検討するメリットは大きい。

 挑発ドルイドは、データ上ではあまりアツくないようだが、ときには統計が嘘をつくこともある。特に、ごく初期の構築が乱暴にも伝わってしまい、レイザーメインの戦闘衛兵をカットするという”小さな”問題が発生したときなどは。ああ……デッキの中で最高のカードをカットしないで下さい。先週のセオリークラフト記事で紹介したトログ型の構築はとても強そうなので、挑発ドルイドの成績回復を期待している。

 ドレクサードルイドは、新拡張の中で将来フォーマットを破壊する可能性が最も高いカードを、最大限悪用することを意図した実験だ。その戦略は、3マナ以下のミニオンとドレクサー、大量の呪文を運用し、3マナのガフ・ルーントーテム、傷を追った剣匠、またはアイアンディープ・トログ(トログのほうが強い!)を含む小型ミニオンパッケージを展開する。

 マリガンでは全力でドレクサーと”コールドトゥース鉱山の確保”(必ずドレクサーが見つかる)を探し、ドレクサーで展開し、ガフと大量の呪文でミニオンをバフしつづけ、あらゆる除去圏内から逃れることを狙う。このデッキは罠であり、生き残るほどの強さはない。少なくとも今のところは。

 ドルイドの実験もあり、我々はまだそれを否定するつもりはない。挑発パッケージを完全にカットし、”フロストセイバーの長”を最大活用するために全面的に獣を採用した構築で成功する可能性が最も高いが、それを解明するにはもっとデータが必要。

ドルイド:クラスレーダー
ソリティアマスター・配列ドルイド
悪のドレクサードルイド
トログ挑発ドルイド

ハンター

 フェイスハンターは挑発ドルイドと似たような状況に陥っている。このデッキに”ブラッドシーカー”を入れたい誘惑に駆られて、プレイヤーはリンリングのライフルをデッキから抜いてしまったのだ。このレジェンド武器は間違いなくこのデッキで最高のカードなので、この動きは非常にひどいものだが、戦闘衛兵のカットほど致命的ではない。

 一方アイアンディープトログは、ワンワンビスケット、カワイイ侵入者、衝角の乗騎を搭載したこのデッキでは推測通りの強さを発揮している。あるいはリンリング以上にこのデッキで最高のカードかもしれない。先週の記事で紹介した構築は素晴らしく、フェイスハンターがスノーボールするための1マナミニオンがいまや3種類もある。大きな決断として、教団の新入会員の採用がある。特に呪文中心のコンボデッキが一般的な高レベル帯では、非常に魅力的なカード。その場合、貫通弾と魔力異常体のそれぞれ1枚ずつを入れ替えるとよい。

 それ以外のハンターデッキはまたしてもダメだった様子だが、もしかしたら……? ビッグビーストハンターは、ヴァンダル/守護獣型の初期の結果からすると、将来有望かもしれない。いや、冗談ではなく。

 このビルドの主な問題は、序盤から中盤にかけての積極的なプレイの欠如だが、いくつかのデータに基づいて、”ふれあい動物園”がそのギャップを埋められるようだ。また、レイトゲーム用のカードも、少し変えたほうがいいかもしれない。”ペット復活”よりも”ン=ゾスの魔石”のほうが優れたカードである可能性は高く、マキシマ・ブラステンハイマーもバカにできない。いや、本当に冗談ではない。

 このデッキはミームのように見えるかもしれないが、意外と競争力がある。どこまで改良できるかどうか興味深い。このデッキでは《ウィングコマンダー・アイクマン》が非常に強い(!)のだが、まだ彼をクラフトしに行くのはやめよう。そのような行為によって引き起こされるかもしれない悲しみについて、我々は責任を負いません。

ハンター:クラスレーダー
トログフェイスハンター
ヴァンダル・ビッグ獣ハンター

デーモンハンター

 デーモンハンターには模索したいことが沢山ある。その中心にあるのは《魔斬士カートラス》というとんでもなく強力なヒーローカードで、下積み芸人とフェルファイアの射手を利用することで、超バーストダメージコンボを狙える。

 ということで、ビッグデーモンハンターは上記のパッケージを採用したものが一番強いと思われる。裁きの秘印は非常に強力なカードだが、これと無貌の操り手のコンボだけを頼りに、残り全部に除去を積んだデッキは上手くいかない。脅威が対処された場合のフィニッシュ・コンボや、より積極的な序盤のボード争奪戦のために、カートラスパッケージが役立つ。カーリア・フェルソウルは悪くない。必須ではないが、予想していたより強い。

 メイジハンターはアイアンディープ・トログに綺麗なカウンターを決めることができるため、現在のメタで強い実用性を持っている。デーモンハンターは通常、バフされたトログに対処するのに苦労するが、メイジハンターがちゃぶ台返しとなるだろう。

 断末魔デーモンハンターは、ウルズールの巨人を活用するのに最適なアーキタイプのように見える。トークン専門のデッキや、トークン・断末魔のハイブリッドデッキよりも優れている。《おんぶインプ》はこのデッキでは《貪り食らうエクトプラズム》よりも強力で、防御系の相手に多くの圧力をかけることができる。側面奇襲は有用。コーラックは期待外れ。

 新しいヒーローカードのもう一つの活用法として、フェルデーモンハンターが考えられる。この方向性についてもっとデータを集めたいところだが、このような防御的なシェルには、下積み&射手コンボをうまく収容できる可能性が高い。ドローを追加すれば(敏速の秘印を抜いてはいけない)、安定したフィニッシャーになるかもしれない。

 そして、古き良き生命奪取デーモンハンター。ワイヤーローグがトップレジェンドで見せている成績、そして今後2週間ほどでプレイが急増する可能性を考えると、生命奪取デモハンがその最強かつ最も信頼できるカウンターとして再び登場することは十分予想できる。我々の予想では、すでに高レベルでTier2に十分な性能を持っている。

デーモンハンター:クラスレーダー
下積みビッグデモハン
ウルズール断末魔ルデモハン
いつもの生命奪取デモハン
下積みフェルデモハン

メイジ

 ここからは、多様なプレイスタイルを持たないクラスについて掘り下げていく。ビッグスペルメイジは、人々が恐れていた通り、大不発に終わった。このデッキは何も機能せず、あまりにもひどいので、私たちはこのデッキを改良することを諦めた。

 モザキメイジは唯一、競技性のあるメイジデッキ。ウォーロックやシャーマンなど使用率の高いデッキに対する強力なカウンターでありながら、多様な対戦相手のいる環境においては、勝ち筋が非常に限定的であることに変わりはない。マナ抽出は素晴らしい追加カードとなった。もしアイアンディープ・トログを多く相手にしているならば、氷風を退化の矢と交換することを検討してもいいだろう。クエストメイジは消えた。時代はモザキ。

メイジ:クラスレーダー
マルチキャスターモザキメイジ

ウォリアー

 ウォリアーの遅い戦略は、アルタラックの初週では、まったくプレイできそうにない。ウォリアーが環境の不可避リーサルを凌ぎきることはできないし、その勝ち筋はもっと時間があれば機能するものの、無条件のマナ踏み倒しエンジンを搭載したクラスたちに比べると遅すぎる。

 とはいえ、エストウォリアーがいかに強いか考えれば、ウォリアーは決してひどい状態にはありません。ただ、このデッキには新カードがなく、少し古臭さを感じてしまう。また、将来、落ち着いた、より洗練されたメタで、特に高レベルのプレイで、スキル上限がかなり低いこのデッキがどこまで行けるのか気になるところ。

 面白い発見はあった。超アグロデッキが存在しなくなったため、《砲座に着け!》と《ロード・バロフ》が非常に役に立たなくなったのだ。実際、クエストを進行させないカードは(《ガタガタ震えなァァァ!》以外)どれも、勝率を下げるカードになってしまっている。

 唯一の結論は、クエスト1枚、手斧1枚、”ガタガタ”2枚、そして25人の使える海賊(サーカスの融合体も!)、そして時々役に立つ交換可カードを採用すること。1マナのサイクリングは、クエストを進行させないカードの中では一番マシなため。クサリヘビはウォーロックと、何よりパラディンに対して役立つだろう(《不動の物体》はマッチアップを崩壊させる)。

 サーカスの融合体は、このデッキがいかに早くクエストを完了することに依存しているかを純粋に考え、理論的に提案したものだ。クエストを進めるという一点のみにおいて、おそらく他のほとんどの選択肢よりも優れている。

ウォリアー:クラスレーダー
アマルガムクエストウォリアー

プリースト

 消耗戦に特化したプリーストデッキの運命は、ウォリアーのそれと変わりはない。相手を削りきることはこのフィールドに対しては単純に通用せず、ビッグプリーストエストプリーストのような戦略は非常に疑問。唯一の救いは《ナールの欠片》がトログに強いことで、こうしたデッキへの負けを少なくしたいなら、2枚入れるべきでしょう。我々はクエストプリーストのマナカーブを可能な限り安定させたり、ン=ゾスをカットすることでビッグプリーストの欲張りを抑えようとしている。

 現環境で競争力のあるプリーストデッキはラクルプリーストかもしれない。このデッキはつまり、アレを使うことができる、そう……アイアンディープ・トログだ。ゲーム後半に《ラリー》で再召喚できる完璧な1マナミニオンで、これまでのミラクルプリーストにはなかった、威圧的なオープニングを与えてくれる。後続の《祝福》や《真言:宴》で壊滅的な打撃を与えることができる。

 しかし、もしドレクサーを含む構築でトログを採用するなら、《洞察》の採用は疑問。マリガンの優先順位は、トログ、もしくはドレクサーのどちらかであり、洞察をキープして2ターン目にで唱えることが十分なプランであるとは言い切れない。もっとデータを集めたいが、1枚が限界だろう。 あるいは、《洞察》を完全にカットして、他のプリースト・デッキで印象的だったカードを採用することもできる。そう、《ナールの欠片》だ。

プリースト:クラスレーダー
ザイレラビッグプリースト
ザイレラクエストプリースト
トログミラクルプリースト

今週のメタブレイカ

 聖典パラディンは現在非常に好調で、最も簡単でスムーズなラダー上りを求める人たちの選択肢になるに違いない。ハンドロックは非常に過小評価されているが、それは巨大なトリの後ろに隠れていて、すべての注目を奪われているように見えることが主な理由だ。ワイヤーローグは相変わらず容赦なく、影業師スキャブスのおかげで、ストームウィンドの終盤、勝ち筋のナーフを受ける前よりも間違いなく強力になった。

 メタの初期段階であり、現段階ではこの結果に関して過剰な反応は禁物だが、今後の方向性については良い印象を持っている。今回取り上げた数々のアーキタイプで変化がありそうだし、このレポートでも紹介しきれなかった新しいデッキが登場するかもしれない。また、来週にはバランスの変更が行われ、物語に新たな展開がもたらされるだろう。

 まとめると、ヒーローカードが強いので使おう、ということだ。

 ヴァーデン以外ね。

聖典パラディン

ハンドロック

ワイヤーローグ

 お疲れ様でした