虚無層

exit from society

vSワイルド18(ホワイトメイン追加第2週)雑翻訳(2019/7/15)

 低気圧で体調不良ってやつ迷信だと思ってたんですが今年から考えを改めました。死ぬほど眠い。低気圧はガチ

https://www.vicioussyndicate.com/wild-vs-data-reaper-report-18/

 vSワイルドレポとしてはメカメカ大躍進(チョッキンガー追加など)以降初めての記事です。

クラス使用率

  • メイジ:サイクロン型のクエストメイジが「発見」および改良され、高ランクに始まり低ランクまで流行しつつある。レジェでは最多で、下から5つのクラス全体の数より多い。ほかのアーキタイプは僅少だがアルネス、エグゾディア、レノ、奇数など。
  • ウォーロック:クラスとしては多いが、アーキタイプは統一されておらず、互いに別物としか言いようのないアーキタイプが同じくらい存在している。レノ、メックトゥーン、キューブ、偶数、チョッキンガー、暗黒の刻、ズーなど……
  • シャーマン:ランク4からレジェという、ある意味最も競技的なランク帯(特にワイルドでは一度レジェヒットすればファンデッキをつかう傾向が高いので)で最多。マーロック、偶数、シャダウォックが主な代表。偶数マーロックともに前回レポより増加。強さに気付かれた。
  • プリースト:引き続きビッグプリのためのクラス。ただし使用率が若干低下、特にレジェで低下。確かに戦えるデッキではあるが現状の使用率ほどには強くないので、実力に見合ってきたと言うべきか。
  • ローグ:段取りとぶんどり部隊のナーフがキングスベインに刺さったためクラス成績は大きく後退。ナーフ前は過小評価だった奇数ローグがクラス代表デッキの座を引き継ぐ。他に見られるのはミルローグ。
  • パラディン:1アーキタイプしかないクラスその2。前回レポに比べると奇数パラは大きく減少。以前ほどは強くないという気持ちがコミュニティに発生したらしい。ほかのアグロ系デッキの実験もあったが失敗。
  • ドルイド:バランス調整で相対的に弱化。翡翠、アグロともに減少。
  • ハンター:数は少ないほうだが実験が始まっている。メカは増加しつつあり、無視できない数の愛好家がスペルや断末魔を試している。
  • ウォリアー:引き続き最少クラス。海賊と奇数。目新しいもの無し。

パワーランキング論議

 プレイヤーとしては奇数パラディンはいい加減そろそろパワーランキング1位から降りていると思いたいところだがそんなことはなかった。今だに奇数パラがトップ。このデッキの安定性は実際より低く見られており、試合数が増えるほど強さが見えてくる。奇数パラに安定して勝てるデッキは非常に少ない。効果的なAoEをもちつつ攻撃的に盤面を作れる偶数シャーマン(退化&メイルシュトローム)、翡翠ドルイド(虫害)、内なる炎プリースト(ダスクブレイカー)などがそれにあたる。

 段取りナーフ前はかなり少なかった奇数ローグだが、これも前回記事から同じく2位のまま。数が増えたのはキングスベインナーフの結果強さに気付かれただけでパワーは変わっていない。

 Tier1の残りの部分はほとんどアグロに占拠されている:アルネスメイジ、メカハンター、偶数シャーマン、マーロックシャーマンなどがいる。これらの成績の良さは、2大流行デッキであるビッグプリとクエストメイジに強いため。これらが準備を整える時間を与えない。アンチコントロール環境にSMOrcが増えるのは当然のなりゆき。

 クエストメイジとビッグプリは、レジェではTier2。どちらも環境のヘイトを集めているため一部の想像ほど強くはない。ランク1-4ではアグロが多いためクエメにとっては一番厳しいランク帯。レジェではビッグプリの強さが上がるがこれはウォーロックが増えるため。レジェ以外のビッグプリはTier3。

 内なる炎プリーストはTier2だが秘めた力はもっと上かもしれない。倍増する腕のバフでデッキに興味が集まり、結果として優秀なマッチアップ分布の器用なデッキだと判明した。思念撃破プリはサンプル数の少なさによりパワーランクは判明しなかったが、ドラゴン型には強いかもしれない。実際どちらも、今のメタではビッグプリよりも強いと我々は考えている。

 ドルイドは弱化し、ほとんどのランクで翡翠、アグロともにTier3。翡翠はアグロに強いがビッグプリとクエメに弱いので厳しい。奇数ローグと偶数シャーマンの増加がアグロドルイドには痛手。

 キングスベインがクエメに取って代わられたのは海賊ウォリ的にはおいしくない。ズーも相変わらず微妙。新参のチョッキンガーウォーロックはTier3だがポテンシャルは現時点の統計上の数字より高いと思われる。この新デッキはチョッキンガーを0マナにすることでOTK、あるいは返せないほど巨大な盤面を作ることを狙う。まだ改良中で、効果の弱いサブ戦略などによって数字は低くなっている。とあるリストが他よりもとびぬけて強く、上位プレイヤーに注目されている。ポテンシャルはTier2から1。

 メックトゥーンウォーロックやレノロックは現在のビッグプリ・クエメ環境では遅すぎる。キューブと偶数のほうがレジェ外では少ないが、このクラス内ではより良い選択肢。エグゾディアは新しいクエメには劣る。シャダウォックはファンデッキミルローグも弱い。

 

クラス別分析

ドルイド

 バランス調整は直接的にはドルイドのカードに影響していないが間接的にはメジャーなアーキタイプ両方に打撃。前回記事ではどちらも上位でかなり人気だったが今回までに転落した。

 翡翠ドルイドがTier3になったのは直感的には納得しにくい。防御力が高く、マッチアップ表を見てもアグロ系にはだいたい強くて(マロシャーの驚異的スノーボール能力は例外)広く優秀な分布。かつ翡翠による無限バリューで自分より遅い相手に強い。問題は環境の人気トップ2デッキ両方に弱いこと。ビッグプリには悲劇的に弱く、新クエストメイジに勝つのも難しいことが判明している。

 アグロドルイドの勝ち筋は翡翠と大きく異なり、トークン呪文と軽いミニオンで横並べし、全体バフ呪文で攻め切るデッキ。クエストメイジには強く、相手が対処する前に序盤に強力な盤面を作れる。しかし対アグロでは頼りなく、ビッグプリにもそれほど有利でない。シャーマンの「退化&ポータル」でゲームプランは完全崩壊するので偶数シャーマンには大きく不利。奇数ローグも強化ヒロパとダークアイアンスカルカーが刺さるので不利。

ハンター

 顔面は正義。前回微妙な立ち位置だったメックハンターはクエメとビッグプリに有利なことでTier1に。チョッキンガーの追加で弱点だった後半のリソース補給力が補われたのも大きい。序盤の展開に弱いメイジ、プリースト、ウォーロックらとデッキパワーで肩を並べる一方、アグロミラーでは序盤の展開に失敗することが多い。作成魔素が低いため新規プレイヤーにおすすめ。

 サンプル数は少ないがその他のハンターデッキはおそらくTier4だと思われる。ミッドレンジハンターは特に前回から変わらず、語るところなし。断末魔ハンターはネクロメカニックのバフにより微強化されたが、九生ありとのコンボだけでは現環境のアグロへの弱さを乗り越えられない。スペルハンターにはちょっとしたイノベーションがあり、従来のバーンズヤシャにシルバナスを加え、九生ありと死にまねを入れたことで遅いウォーロックやビッグプリに強くなった。

メイジ

 最少クラスから一気に最多クラスへと劇的な躍進。すべてはサイクロン型クエストメイジの誕生による。

 エストメイジはマナサイクロンと魔法使いの弟子を採用しており、クエストを抜けばまさに今スタンダードで使われているリストに似ている。安い呪文の大量採用によって、ランダムな呪文で手札を再補充しながらクエストを進めつつ魔力の巨人のコストも下げられる。特にプリーストやウォーロックにありがちな遅いデッキに対して非常に有効。しかし守りの手段に乏しいためアグロに弱く、フレイムウェイカーで1ターン中に全除去を狙うなどするしかない。

 エグゾディアメイジはたいていのマッチアップにおいては劣化クエストメイジ。上と同様自分より遅いデッキには強く、早いデッキには弱い。しかし魔法使いの弟子・鋳造・アントニダスによるリーサルはクエメよりずっと遅く、柔軟性にも乏しい。

 アルネスメイジはおそらくメイジで最も過小評価されているデッキ。またもクエメやエグゾディアと同じく、遅いデッキに強く早いデッキに弱いが、ビッグプリとクエメの両方に非常に強いという、現環境において重要な強みがある。加えてウォーロックのデッキ群に全体的に強いことを考えれば、地味ながら現環境で非常に有効なのが分かる。

 レノメイジに希望はあまりない。アグロには比較的強いかもしれないが、レイトゲーム戦略が遅いデッキに追いつけない。掲載デッキはアントニダスとポケット銀河を採用することで、各種テックカードを抜くことなくフィニッシュの威力を高めようと試みている。

パラディン

 パラディンに強力かつ人気のデッキがたくさんあった時代は遥か遠くに行ってしまった。今のパラは奇数パラディンという1つのアーキタイプのためだけのクラスになっている。幸か不幸かその奇数パラディンはワイルド最強の一角だが。

 奇数パラディンはワイルドにて最強の勝率を誇る。驚くべき安定度の高さ、高度に改良された構築で多くのプレイヤーが好成績を残している。悪党同盟環境において、鉄嘴のフクロウと勇者の紋章が増加していき、諦めるな!は早期から固定枠となって特に対ウォーロックを改善した。

 アグロパラディンメックパラディンはともに高ランクでは1%未満で、我々の予想ではTier3。掲載のアグロパラディンはなじみのあるリストだろうが、メックパラディンのほうはワイルドにおいて新参デッキ。1マナのクリスタル学という、今やゲーム中最強ドローソースの一角の誕生によってこのデッキへの興味が高まった。クリスタル学は本質的には横並べデッキのほうが相性が良く、昔ながらの動員を用いるタイプとは違うデッキを生み出した。

プリースト

 おそらくワイルドで最もヘイトを集めるクラス。実際ビッグプリーストはレジェンド以外のすべてのランク帯で最多のデッキ。ちなみにレジェはクエメのほうが多い。ランクが低いほどビッグプリが多い。たとえばランク14-10では他のどのクラスのクラス内デッキ総数よりもビッグプリの単独アーキタイプの数のほうが多く、アーキタイプ単位だと他のどのデッキよりも2倍以上多い。すなわちカジュアルプレイヤーの間で圧倒的に人気。

 しかしビッグプリの勝率自体はきわめて平凡、むしろ平均的なデッキよりも劣ることが多い。パワーランキングではレジェンド未満でTier3、レジェでTier2。これはレジェンドプレイヤーはバーンズ引くのが上手いからではなく、レジェンドにはアグロデッキが少なく、得意な相手であるウォーロックが多いから。ビッグプリはアグロには勝てないしクエメも苦手なので、現環境には向いていない。実際ビッグプリの問題は強さではなくゲームプレイの不快さ。

 前回記事以降に起こったこのクラス最大のイベントは内なる炎プリーストの開発。かぎりなくTier1に近い性能のデッキ。盤面維持にはドラゴンシナジーを利用し、ミニオンが残ったら神授の霊力と内なる炎で大ダメージを与え、大抵はそこでフィニッシュ。またアグロ耐性が高いため、マッチアップ分布も優秀で極端さはゲーム内最少に近い。

 ドラゴンプリーストの成功譚は終わらない。思念撃破プリーストもまた序盤をドラゴンシナジーで戦うがフィニッシャーは異なり、DKアンドゥインと思念撃破、ソーリサンによるバーストで決める。サンプルが少ないので期待を込めてTier2に入れた。開拓が望まれる。

 レノプリーストは人気が大きく落ちた。かつてはラザとDKアンドゥインで巨大ダメージを出す覇者だったが、盤面の不安定さとビッグプリ・クエメに弱いことで現環境では不況。顔面に呪文を飛ばしたければ上の思念撃破プリを使うとよい。

ローグ

 バランス調整後人気は大きく減っており、実際段取り・ぶんどり部隊のナーフはダイレクトにキングスベインローグのパワーを下げた。しかし現在のメタでもローグは有効な選択肢。

 具体的には奇数ローグが冷血を失ってから一か月の今でも最強デッキの一つ。強化ヒロパによる序盤のコントロール力はすさまじく、安定して有利な盤面を作れる。明確な不利マッチは奇数パラディン翡翠ドルイド。奇数パラディンは明確にヒロパの相性が悪く、ローグの対応を超えた横展開力があり、一方翡翠ドルイドは大量のアーマーと遅延の手段によって受けきられてしまう。

 キングスベインローグはナーフによってダイレクトに殺されたデッキだが最近になって復活の兆しがある。サンプル数は少ないが、ぶんどり部隊を利用した海賊アグロ系のリストは現環境で充分戦えるポテンシャルがある。

 古式ゆかしきミルローグと今月増えてきた強盗ローグに関してはどちらも弱く、Tier4と言わざるを得ない。

シャーマン

 偶数シャーマンは相変わらず最強の一角でありすべてのランク帯でTier1の勝率。ゲン・バクのすべてに言えるが安定性が非常に高い。苦手なマッチが少ない。相手の戦略を否定するのに長けている。メカバフ以降は雷雲の採用も試されている。雷雲のトークン生成力はアグロミラーにおいて非常に強い。

 マーロックシャーマンも引き続き強力。アングラ・アングラーと猛毒フィンの登場によって最強のコントロール殺しのひとつになった。一度でも空の盤面を渡されれば圧倒的な盤面を作ることができ、クエメやビッグプリなどの遅いデッキに対して非常に強い。ただしゲン・バクはさらに安定して盤面を取ってくるので苦手。

 前回記事でもシャダウォックシャーマンが多様な戦略を取れることは話した。翡翠とOTKの型は失敗したようだが、新しい躯の駆り手型には希望がある。良い知らせはこの型が最強であり、今のところ最人気の型であること。悪い知らせはそれでも弱くてTier4であること。

ウォーロック

 ウォーロック全体の使用率は比較的高いものの、アーキタイプは多様で玉石混交なため勝率はそれほど高くはない。

 チョッキンガーロックはメカメカ大躍進で登場した新レジェンドを利用した新デッキ。0マナのチョッキンガーを無限に出し続けるのが狙いであり、メカワーパーとポータルによってそれを実現する。返せない巨大盤面が作れ、あるいは既に盤面にメカがいればOTKになる。

 現時点ではいくつかの型が存在し、論じるのはそのうち2種類。片方はヴォイドコーラーを採用して耐久勝ちも狙うリストで、もう一つはドローを大量に採用しチョッキンガーに集中した「ターボサイクル」型。我々はこの「ターボサイクル」型こそ現環境では最良のリストでありラダーで使うべきリストだと考える。

 チョッキンガーロックは現時点ではTier3だが、誕生直後で悪い型も存在していることを考えるとポテンシャルはもっと高いといえる。現在、改良スキルの高い上位プレイヤーのほうが良い成績であることからも、今後より強くなると思われる。ポイントはウォーロックのなかでこのデッキだけがビッグプリとクエメの両方に強いということであり、この一点だけでもこのデッキに注目しておく価値はある。

 キューブロック偶数ウォーロックは全体ではほとんど使用されていないが、ひとたびレジェンドに入るとクラス内最多となる。勝率から見てもこれは偶然ではない。

 他の遅いウォーロックと違ってこれらの2デッキは積極的に攻めることができる。キューブロックはアグロ的な戦略をとることができるためビッグプリとクエメに対して他のウォーロックよりはかなり勝てる。またキングスベインの減少により武器対策も減ったため、マナアリの髑髏が残りやすい。キューブロックがアンチコントロールとして名を馳せる一方、偶数ウォーロックは鉤手のリーヴァーと溶岩の巨人によるスイングでアグロに対して強く、序盤の巨人で遅い相手とも戦える。

 現環境に耐久デッキは相性が悪い。よってメックトゥーンロックノロックはともに成績が非常に悪い。シンプルに、ビッグプリとクエメに対する有効なカウンター手段を持っておらず、相手のしたいようにさせてしまう。これら2つが暴れているうちは遅いウォーロックで遊ぶのは難しい。

 暗黒の刻ウォーロックは使用率は減ったが、勝率は50%のちょい下を維持している。相変わらず運次第でどんな相手にも勝てるしどんな相手にも負けるデッキ。ともかくウォーロックには他にも大量のデッキがあり、今このデッキは更なる新参の登場で興味が失われている。

 裏切りウォーロックはその更なる新参の一つ。フェル・リーヴァーと裏切りのコンボで相手のデッキを焼き切ることを狙う。また終末予言者に裏切らせることでAoEとなったり、プリーストの復活プールを汚したりできる。デッキの強さをはかるための十分なデータがまだないが、複数サーバーで上位プレイヤーによる成功報告がみられるので注目には値する。

 最後にハースストーン最初期から存在してきたズーだが、魔法の絨毯と悪党同盟の異才の力である程度の数が見られる。Tier3だが戦えはする。

ウォリアー

 最少のクラス。スタンダードでの強さとは裏腹に、シナジーの組みやすいワイルド環境ではあまり強くない。

 一番マシなのが一昔前の海賊ウォリアー。なんと仁義なきガジェッツァン以来変化していないシーラカンス。直近の調整によって遅延と凍結にあふれたクエストメイジが流行してしまったのも面白くない。またアグロミラーに弱いのもよく知られており、結果現環境に居場所がない。唯一の利点はビッグプリに強い事。

 二つめにマシなのが奇数ウォリアー。アグロに強いが、大量バリューの遅いデッキに弱い。マッチアップが極端なので環境によって勝率が不安定。Tier3。

 

 お疲れさまでした