虚無層

exit from society

vS141(発見調整初週)雑翻訳(2019/9/20)

 書きかけで放置され、142が公開されるまで忘れられていた回です。投稿日時を弄ってちゃんと書いたみたいにしてますが嘘です。

 ワイルドのvSレポートは30日頃とのこと。

https://www.vicioussyndicate.com/vs-data-reaper-report-141/

 前回記事からの変更点

  • キーワード「発見」のクラスカード出現率調整、「覚醒者エリーズ」の能力調整

クラス使用率

 クエストシャーマンはようやく減少の兆し、特にランク4以上。クエシャーは強さのわりに人気過ぎた。いろんな理由があって過剰に使われていた。(配信で目立ってた、パワーレベルの直感的誤解、楽しいから、等)一方マーロックシャーマンがじわじわ増えており、特に肉細工師と突然変異の入った型が増えている。

 プリーストは今週も増えるべくして増加。コンボプリーストは最近のスタンダードで間違いなく最強のデッキ、安定したカウンターデッキも数が少ない。レジェンドでは最多のデッキだが、より低いランクではまったく流行っていない。ランク14-10なんて復活プリーストのほうが多いくらい。

 発見調整はウォリアーの使用率に大きく影響。全てのレベル帯でコントロールウォリアー、アグロウォリアー両方が減少。これらのデッキに対して本当に発見調整が悪影響なのかは、まだわかっていない。ウォリアーの減少は果たして妥当なのか、それとも誤りか。

 ハンターは増加。レジェンド手前のレベル帯のメタに強いハイランダーハンターが増加。他のアーキタイプも増えている。クエストハンターは先週に続き増加。ミッドレンジハンターも復活。

 ドルイドは中堅のまま不動。クエスドルイドは全体でも最人気デッキのひとつだが、他に見るべきものは無い。

 パラディンは今週も減少。クラス内のアーキタイプの割合はランクによって大きく異なる。低ランクではマーロックパラディンやクエスパラディンが多いが、たまに聖なる怒りパラディンハイランダーパラディン。レジェンドでは聖なる怒りが多数派。

 ローグの状況に変化。上位帯でクエストローグが再び人気になる。アグロローグは人気停滞。クエローグの人気はJ_Alexander氏の成功によるもの。

 ウォーロックは人気減少。ズーは使えるデッキであることが証明され、バランス調整前よりも強くなったが、トップデッキ群に入れるほどではなかった。人気が落ちるにつれて勝率も下がっている。

 メイジは相変わらずほとんど使われていない。ハイランダーメイジ以外は全く使えない。

パワーランキング論議

 今週のvSレポートもコンボプリーストがいかに強いかを語る回となります。だって強いから

  • コンボプリーストは、クエストシャーマンとクエスドルイドの多いメタでは位置が良い。クエシャー・クエドルは確かに強いけど見た目ほどの最強格ではなく、ラダーでの成績もそこそこ。これらのデッキは序盤が受け身すぎるために、コンボプリのノースシャイアにたやすく降伏させられる。
  • ここから、コンボプリーストの弱点もわかる:序盤の盤面に負けると試合に勝つのも難しくなる。コンボプリは一度盤面を渡すと勝てなくなるデッキ。よって序盤に強い盤面が作れてプリーストの盤面に対応できるデッキはコンボプリに立ち向かえる。アグロローグとアグロウォリアーがいい例。
  • さらに、どのデッキを使う場合でもこの弱点は有効。よってプリースト相手には全力で序盤の盤面を取りに行くべき。たとえ本来の勝ち方から離れていてもそうすべき(例:クエスドルイドもクエストを進めるより盤面を優先したほうが良い)ミニオンがとられたらプリーストは勝てない。

 ウォリアー・クラスの成績の傾向は興味深い。コントロールウォリアーは実際発見調整で弱体化したようだが、アグロウォリアーには悪影響は無い。むしろコントロールウォリアーの減少は、高レベルでアグロウォリアーの勝率を上げている。我々はアグロウォリアーがラダーで最強のデッキだと考えている。現在のアグロウォリアーのマッチアップ分布は素晴らしい。ウォリコンさえいなければアグロウォリアーは最強。

 マーロックシャーマンは劇的に成績が上がっており、これは魔古の肉細工師のおかげ。最近これが増えたことで試合が変わった、これまでいなかったのは重大な見過ごし。この肉細工師・突然変異型への移行はまだ途中なので、今後移行が進むに従って成績はさらに上がり、プリーストに強いおかげでTier1到達も夢ではないと思われる。

 ハイランダーハンターはやはり全てのランクで非常に強く、すぐには弱くならないだろう。最大の障害であるマロパラ、クエパラは減少しているため、大抵の相手に強く戦える好都合なメタ。

 クエストハンターは充分いい位置からパワーランキングにデビュー。しかし先週に同じく、プリーストが障害。よってレジェンドではTier3。

 パラディンに不利な状況が続いている。マーロックパラディンは今も強いが、序盤の頂点からはかなり落ちた。クエスパラディンは本質的に死んでる。ハイランダーパラディンも希望は薄い、コンボプリとクエシャーに弱いため。聖なる怒りパラディンは相変わらずニッチ枠だが、コンボプリーストとの勝率がここ数週間で大きく変化した。プリースト使いは戦い方を学び、パラ側は完全に不利になった。

 他にもいくつかのアグロデッキがウォリコン減少で成績改善。アグロローグは強くなったようで、またプリーストにも強いためメタで新たに地位を獲得している。メカハンターも勝率が上がっているが、これはアグロウォリアーが戻ってくるまでの一時的なものだろう。ズーウォーロックも改善されたが、まあ使えるという程度。それ以上ではない。

 ハイランダーメイジは勝率が上がり、どん底は脱出。これはいいニュースだが、一方でラダーでわざわざメイジを使う理由があるだろうか? 我々は少し懐疑的だが、ともかくこの傾向が続くかどうか見極める必要がある。来週に50%まで上がれればプラスの兆候。

 クエストローグの勝率上昇は一見大したことないが、いくつかのカードの成績が大きく変化していることから、統計以上のポテンシャルを秘めたデッキだと分かる。我々はクエローが現メタですばらしいデッキだとは考えないが、少なくとも見た目以上に強いデッキではある。もっと多くのプレイヤーがクエスト中の探検家を入れたり、影隠れやサメの精霊を抜いてくれれば(ところでサメの精霊はすさまじいクソ)、クエストローグの数字は少しは良くなるはず。

クラス別分析

シャーマン

 エストシャーマンは今でも最人気デッキだが、高レベル帯では減少し始めており、勝率がさほどではないことを示している。クエシャーは環境のトップメタデッキたちのほとんどに対して飛び抜けた有利を持っておらず、コンボプリーストの増加も大きな問題。

 先週述べた通り、このプリーストメタに対してどうしてもクエシャーを使いたいなら、含み笑う発明家を大地の衝撃に替えることを勧める。大地の衝撃は対プリースト以外のマッチアップで非常に弱い(ミラー戦、クエドル、ハンターに対しては存在価値が無に等しい)が、対プリーストでは勝率を大きく引き上げる。クエシャー対コンボプリは序盤を妨害し、脅威を制圧していけば、最後はクエシャーが盤面で圧倒して勝てる。

 マーロックシャーマンは対プリーストを上げたいなら選択肢として有効。プリより早く序盤の盤面を作れ、適切に猛毒フィンを使えばプリーストを崩壊させられる。先週から肉細工師・突然変異の型を評価してきた結果、これらは必須だとわかった。肉細工師の存在はあまりにも大きな違いを作っているため、環境最序盤からデッキに入っていてもおかしくなかった。この型が増えるにつけて、デッキ勝率も上がっていくだろう。

 この一週間でコントロールシャーマンが増えているようだが、これ以上はないと確実に言える。どうしたって弱い。

シャーマン:クラスレーダー
突然変異クエストシャーマン
FU4FREE氏のマーロックシャーマン
ドゥームハンマーオーバーロードシャーマン
トークンオーバーロードシャーマン

プリースト

 コンボプリーストはやはり支配者。いまやレジェンドでは最多のデッキ。レジェンド以下でもランクが上がるほど増えていく。クエストデッキにかなり強く、大きなカウンターマッチがない。よって使い方さえ十分に理解しておけばラダーに最良のデッキ。

 我々は掲載のリストに満足している。2積みの沈黙はミラー戦の多い現メタでは強力。Nohandsgamer氏が同じリストで今週レジェ1位。

 復活プリーストは使えはするが特別強くはなく、コンボプリに比べれば霞む。Zetalot氏がこのデッキでバレバレの囮を使ってレジェ25位になった。

プリースト:クラスレーダー
ブワンサムディーコンボプリースト
Zetalot氏の復活プリースト

ウォリアー

 先週のパッチで発見が調整され、怯える下っ端、オメガ・アセンブリ、ブームの発見ヒロパのパワーレベルが下がり、ウォリアーは勝率と使用率ともに少し下がった。しかしながら、下っ端もアセンブリも変わらず採用されるだろう。下っ端は「実質木霊」を失った(下っ端から下っ端を見つける確率は3分の1になった)今でも、相変わらず全てのウォリアーで採用される強さ。

 したがって、掲載のリストはどれも先週から変えていない。コントロールウォリアーは今でもアグロデッキを駆逐しながらコンボプリーストにも耐えている。アグロウォリアーは最悪のマッチアップ(コントロールウォリアー)が減少しており好機。ウォリコン除けばなんにでも強い。

ウォリアー:クラスレーダー
挑発コントロールウォリアー
挑発爆弾ウォリアー
アルカナイト・アグロウォリアー

ハンター

 ハイランダーハンターは引き続き好都合なメタを楽しんでおり、スタンダードでラダーに最適なデッキの一つ。トップメタデッキのほとんどと互角以上に戦え、マロパラの減少も追い風。

 メカハンターハイランダーほどは成功してない。プリ、ドル、ウォリとの勝率が劣り、ズーのようなアグロにも脆い。

 エストハンターは意外と使えることが分かってきた新参者。コンボプリーストに弱いのは痛いが、それを加味しても全体勝率が悪くない。ナイフジャグラーの成績を一週間観察したが、抜くべきだと確信した。

 ミッドレンジハンターがSirVilguadas氏の成功を受けて少しだけ帰ってきた。ヘンチクランの騎豚でプリーストと序盤でもっと戦えるようになる。追跡術は過大評価で、0枚でも問題ないと考えている。現メタにおけるミッドハンターの最大の強みはクエストシャーマンに強いことで、特にスケイルハイドと狂乱を両方2積みしておけば、シャーマンのバーン圏外までいける。

ハンター:クラスレーダー
9号ハイランダーハンター
スタンダードメカハンター
騎豚ミッドレンジハンター
海の巨人クエストハンター

ドルイド

 エスドルイドは先週と同じような位置。大量のクエストシャーマンがうれしいがコンボプリーストの支配はかなしい。よって今週も、戦えるデッキだが最強デッキではない。

 構築の選択については前回と同じ。最近マリゴス型が大会に現れたことでラダーでも微妙に増えたが、大会と違ってラダーではノミを殺すだけのカード(デスウィング、ハッカーなど)が存在せず、またハンターが多いため、あえてマリゴスを選択する意味がない。ラダーにおいてはノミ型の方が確実に優秀。

ドルイド:クラスレーダー
ファオリスクエストドルイド
エリーズクエストドルイド

パラディン

 パラディンは今週も少し減少。実験段階もほぼ終了し、それぞれのデッキが異なる理由でトップメタデッキに劣ることがわかっている。

 マーロックパラディンは大きく勝率が下がった。ひとつの勝ち方しか持っておらず、プレイングの差も出ないため、一度落ちるととことん落ちる。他のデッキは適応や成長の余地があるが、マロパラはこれ以上がない。ラダー全体においては依然パワフルなデッキであるものの、最高ランクにおいては頭打ち状態。

 聖なる怒りパラディンはやはりラダーというより大会向けのデッキ。特定のデッキにぶつかることができるなら仕事するが、より多彩なデッキと出会う場において安定して勝つのは難しい。例を挙げればアグロウォリアーとハイランダーハンターは大会ではほとんど見かけないが、ラダーでは多く、聖なる怒りパラディンに強い。

 ハイランダーパラディンはまた増加してラダーでもみかける程度になったが、これ以上増えることは無いだろうと考える。そこそこのマッチアップ分布をしているが、メタの最大手であるコンボプリーストとクエストシャーマンに弱い。

 エスパラディンはとにかく弱い。ハイランダーパラディンはまだコンボプリとシャーマンに苦戦する程度だが、クエパラは完全に破壊される。ラダーにおいて自殺行為。

パラディン:クラスレーダー
鮮鯛マーロックパラディン
クエストメカパラディン
聖なる怒りパラディン
Trump氏のハイランダーパラディン

ローグ

 ローグはラダーではかなり少ないが、アグロローグはプリーストの増加とウォリアーの減少が追い風。ローグがウォリアーに苦戦することは周知だが、プリーストの盤面を制圧できるのは現在のメタでは重要な能力。アグロローグはこのマッチアップではコントロールのように振舞い、プリーストの序盤ミニオンを除去してスノーボールを妨害する。プリーストがひとたび盤面づくりに失敗すれば、ローグは逆転不能な盤面を作れる。

 J_Alexander氏がレジェンド12位に到達したエストローグは千刃乱舞の代わりにナイフの雨、トグワグルの計略の代わりにラボの採用係を入れている。これらは優秀な改良だと思われ、このアーキタイプには悪い構築のせいで統計的に隠されていたポテンシャルがあるのかもしれない。よく訓練されたクエストローグはコンボプリーストやコントロールウォリアーに対処できるが、それでもクエスドルイドは悪夢。

ローグ:クラスレーダー
スタンダードアグロローグ
JAlexander氏のクエストローグ

ウォーロック

 ズーウォーロックはトップデッキに劣るように見えるので、注目も薄れてきている。しかし、充分成功できる強さがあり、悪いデッキとは言えない。最大の問題はクエストシャーマンが多くて苦手なマッチアップであることと、ウォリアーがまだ人気で苦手な相手であること。

 しかし遅いウォーロックデッキはさらに弱く、次の拡張でコボルト級のパワーカードを貰えなければ活躍できない。遅いウォーロックは常に回復カードと、タップする価値のある強力なレイトゲームを要求する。現時点ではどちらも存在しない。

ウォーロック:クラスレーダー
手先ズー
ハゲタカズー

メイジ

 あまりにメイジの情報が少ないため、なにか意味のある話をすることすら難しい。現時点ではハイランダーメイジは現メタの最強デッキに挑めるほどの力はなく、他のメイジデッキは完全に消滅し、復活の望みもない。本当に弱いので。

メイジ:クラスレーダー
BoarControl氏のハイランダーメイジ

今週のメタブレイカ

 少し性急な判断だが、このままコントロールウォリアーが減り続けて支配者でなくなれば、アグロデッキが帰ってくる可能性もある。

 加えてコンボプリーストの支配している現メタでは、効果的な除去と序盤の盤面力が高く評価される。

 これらから、今週のメタブレイカーをアグロウォリアーとする。唯一の弱点であるウォリコンさえなければ誰にも追いつけないので、少なくとも見た目上ウォリコンのパワーレベルが下がっている現在が好機。今こそ顔を叩く時。

アグロウォリアー

 お疲れ様でした